CARSメンバーだより 韓 貴峰(CARS幹事/日本楽譜出版協会)
はじめまして。今回からCARSに参加させていただきます日本楽譜出版協会の韓です。音楽出版者で著作権管理業務に携わっていますので、日常的にユーザーさんからの楽譜コピー等に関するお問い合わせにも対応させていただいておりますが、この場では出版者側の立場からだけではなく、私自身も楽譜にお世話になっている、一楽譜ユーザーとしてもお話をさせていただければと考えております。
幼少の頃、両親から半ば強制的にピアノの練習を命じられ、譜面台に置かれた横本バイエル…しぶしぶ弾き始めたことと、楽譜の表紙デザイン、イラスト等も不思議なくらい鮮明な記憶として残っています。やはり人間は、あまり嬉しくない思い出や、どうでもいい事から優先的に記憶にとどめる傾向があるのでしょうか?
その後、運動部活動に熱中するあまり、挫折寸前の時期も何度かありましたが、高校卒業の前あたりから、特別な理由はなかったのですが、突然ピアノに打ち込むようになり、これまでさぼっていた反動もあったのか、とにかくピアノを弾くことと、ピアノ音楽はもとより、交響曲など音楽全般を、楽譜を見ながら聴くことに時間を費やすようになりました。
残念ながら今では自宅で眠っていることが多いのですが、ピアノ楽譜をみると思い出すことがあります。今更言うまでもありませんが、いわゆる原典版とされているバッハ、モーツァルト、ベートーヴェン等の楽譜は、ドイツほか、海外の出版社から刊行されているものが多く、価格も高いが信頼性も非常に高い。表紙デザインとその手触りは、ほとんどの出版社のものがそれぞれ個性的でシンプルながら、作曲家の想い、歴史の重みさえ感じるようで、すこぶるかっこいい。しかし当時の私は、表紙のかっこよさとは裏腹に、楽譜の耐久性には唯一難点あり!と感じており、新しい楽譜を買ってくると同時に、幅の極端に広いセロハンテープのような物を買いこみ、楽譜を長持ちさせるべく、先ずは表紙にカヴァーを貼る作業にかなりの時間を割いていました。こんなことにばかり時間かけてないで、さっさと練習しなさい!と叱られそうではあるが…とにかく楽譜は一生もん、と大切に扱っていた記憶があります。