[ブログ] 楽譜de散歩
2013.04.26 創作秘話・作家の思い

自作品のコピー楽譜 上 明子(CARS幹事/作曲家)

【執筆者】上 明子(CARS幹事/作曲家)

とある女声合唱団で、自作品を演奏して下さるという嬉しいご連絡をいただきました。カワイから出版されている「あしたになっても」という組曲作品です。

コンサートまであと2ヶ月という3月に、一度聴いて欲しいと連絡をいただき楽しみに出掛けて行きました。

そこでビックリ!仰天!何と指揮者とピアニスト以外の合唱団員は全員コピー譜という風景が目に飛び込んで来ました。しかも本物の楽譜より、素敵な装丁に仕上げられていたりして・・・。

私はしばし考えましたが、やはり許せませんでした。「コピー譜での演奏でしたら、取り上げてくださらなくて結構です。」と。それに対する指揮者の返答に唖然!「本番は暗譜で歌いますから・・・」そういう問題ではないでしょう?

その後、コンサートのプログラムを変更したのか、そのまま押し切って練習しているのかは、確かめたくもありません。

しばしば楽譜は高いから団員に買ってもらうことはそうそう出来ないという言葉を聞きます。ではお聞きしますが、ステージ衣装を何着も揃えたり、レストランでの打ち上げの費用には、何も感じないのでしょうか?・・・と。

アマチュアコーラスの団員の方々を責める気持ちはございません。プロかアマチュアか知りませんが、少なくとも指揮者とピアニストはお礼をいただいて仕事をしている訳です。出版社も詩人も作曲家も、霞を食べて生きてる訳ではありません。その辺のプロ意識って、常識として持っていて欲しいとつくづく思います。

今回と同じ事を以前にも経験しました。CARSが立ち上がって、初めての顔合わせの時に、同じ話をした事を思い出しました。

前の経験の時はもちろんCARSの存在はありませんでしたが、同じ行動を取りました。その時にその行動を取る気持ちの後押しとなったのは、大尊敬している中田喜直先生にかつてお聞きしたお言葉でした。「コピー譜にサインして!って言われても、絶対しないんだ~!」って。先生はコピー譜をとことん厳しく叱っていらっしゃいました。もちろん世の中に先生の曲は浸透していて皆が知っています。だからどんな事でも言い放つ事が出来るのかもしれませんと人はいいますが、それは違うと思っていました。先生は曲がった事はとことん許せないご性格なんだと。

その状況とは違う私の場合は、曲を演奏して下さる人がいたら、飛びつかなくてはいけないんですよね・・・本当は。でも、やっぱりダメ!な事はダメ!なんですよ!気持ち的に!

でも、今回の曲を児童合唱が演奏して下さって、そのリハーサルに立ち会いに行った時に同じ言葉を即投げかけられたかは、ちょっと疑問なのです。子供たちに面と向かっては言えなかったように思います。子どもに罪はありませんから・・・。その時は指導者、保護者に多分お伝えしたかもしれません。

演奏される機会が少ない私ですが、CARSに関わる前も後も、変わらず楽譜コピーはダメ!なんだという思いは、頭ではなく、ず~っと体で感じていることなのかもしれません。

CARSは終わりのない啓発活動かもしれませんが、やはり続けていかなくてはいけないと、改めて強く思った出来事でした。