楽譜コピーに思う 関 孝一(CARS監査役/日本音楽作家団体協議会 事務局長)
前回のCARS韓幹事のブログ記事「楽譜コピーについて」を読んで思い出したことがあります。
現在、私は日本音楽作家団体協議会(FCA)の事務局を務めていますが、JASRACの職員です。もう20年近く前の話になりますが、当時出版課という部署で主に出版物への音楽利用に係る許諾業務を担当しており、担当業務には「楽譜コピー」も含まれていました。まだCARSという組織が存在しなかったこともあり、利用者の方に「楽譜コピー」に対する著作権の手続きや、絶版になっていない楽譜の場合にはコピーするのではなく出版物を購入するように説明しても理解をしていただけないことが多い時代でした。そうした状況を少しでも改善するために、著作権の普及・啓発を兼ねて楽譜をコピーする可能性が大きかった全国組織の合唱や吹奏楽の団体を、本部だけでなく、地方にある支部・事務局を訪問したことがありました。
当時、学校の先生が事務局を担当されていることが多く、クラブ活動や各種コンクール等に応募・出場するため「楽譜コピー」することの違法性、手続等の必要性を説明しても一般の方以上に、なかなか理解してもらえませんでした。
理由は、「学校内で行うコピーについて、授業等で使用する目的以外で利用しても教育の一環であり、何の問題もないはずである」と頑なに思い込まれていたのです。
JASRACで著作権の管理業務に従事してから、日本の音楽文化が発展するためには子どもの時から著作権教育を受ける体制を整えることが重要であることは常に感じていましたが、教育者に対する著作権教育こそ喫緊の課題であると、その時、痛切に感じたことを今でも鮮明に覚えています。
その当時に比べれば、教育に携わる方、利用者の方の著作権に対する認識は高くなっていますが、一方で楽譜コピーに対して、まだ誤解をしている方が存在することも事実です。これからもCARSを通じて楽譜コピーに関する注意喚起を、一人でも多くの方に理解してもらえるように地道に活動を続けていくことが必要であると強く思っています。