[ブログ] 楽譜de散歩
2013.12.27 著作権について など

コンビニで楽譜も 韓 貴峰(CARS幹事/日本楽譜出版協会)

【執筆者】韓 貴峰(CARS幹事/日本楽譜出版協会)

ここ数年来議論が続けられている“出版者への新たな権利付与”については、来年1月に始まる通常国会において、現行法の出版権に新たに電子出版も加えられた“総合出版権”とする改正法案が審議され、概ね決着するであろうと予想されています。残念ながら、出版業界が当初一貫して要望していた「著作隣接権」は、またしても見送られることとなってしまいました。

楽曲著作権が消滅している楽譜等も多数刊行している楽譜出版者にとっては、仮に総合出版権が法制化されたとしても、海賊版に対抗できる等の新たな手だてが与えられるわけでもなく、現状と何も変わらないと言わざるをえません。今後も楽譜出版者が音楽文化の発展に貢献していくためにも、一般書籍とは異なる「楽譜の特性」を引き続きアピールしながら、「著作隣接権として独立した固有の権利」獲得を目指していくべきと考えております。

話はがらっと変わりますが、先日実際に体験してみて、自分的にはけっこう驚いてしまった今どきの楽譜データ販売についてお話させていただきます(数年前から始まっていたようなので“何を今更、遅れてるわね”と言われるかもしれませんが)。ある雑誌広告の“コンビニで楽譜プリント”という文字が目にとまり、よくよく読んでみたところ、日本全国どこにでもある複数の大手コンビニチェーン店頭に設置されているマルチコピー機で、楽譜が簡単に購入できる!との説明が(念のため“マルチコピー機”とは、見た目はほぼ普通のコピー機と同じですが、インターネット回線に接続されており、データ送受信によるプリント等も可能なコピー機です、一部マルチコピー機が設置されていない店舗もあるとのことですが、ほとんどのコンビニには設置されているようです)。

早速試してみました。まずはパソコン等で楽譜配信サイトを開き楽曲検索、コンビニ用の楽譜商品番号をメモ、コンビニに出向きマルチコピー機のタッチパネルで商品番号を入力し、商品代金を投入。私が実際に購入した6ページの合唱楽譜がA3用紙3枚に出力され購入完了、もちろん製本はされていない“ぺら”の楽譜ですが、所要時間は2~3分程度でした。

自宅でダウンロード購入した楽譜を出力したり、特定の楽器店等の店舗に設置された端末での楽譜配信販売の需要が伸びていることは、もちろん認識していましたが、これほど手軽に(コンビニでも!)楽譜が入手できる時代になったのかと、正直驚きました。

楽譜出版に携わる身としては、上質な楽譜がユーザーの方々に供給される手段が増えることは非常に喜ばしいことと考えてはいるのですが、どうしても頭をよぎってしまうマイナスイメージは、コンビニで購入された楽譜が何の悪気もなしに、或いは一部の心無いユーザーによって、その場で手軽に無断コピーされてしまうこと。

今後も楽譜の販売、及び入手経路、またユーザーのニーズもますます多様化していくことと予測されます。今まで以上に綿密な、楽譜無断コピー防止の啓発活動を行っていくべきと強く感じております。