[ブログ] 楽譜de散歩
2014.02.28 著作権について など

Culture First(はじめに文化ありき) 関 孝一(CARS監査役/日本音楽作家団体協議会 事務局長)

【執筆者】関 孝一(CARS監査役/日本音楽作家団体協議会 事務局長)

先日、文化審議会著作権分科会国際小委員会を傍聴する機会がありました。

その際、ドイツ著作権法における私的複製補償金制度について解説をした同委員会の委員である大学教授より、ドイツでは国民がまず文化を尊重し創作者の権利を大切に保護することを基礎に同制度が作られている旨の報告がありました。

私が所属するFCAは、著作権保護の活動として楽譜コピー問題以外にも、一昨年11月の最高裁の決定により、ほぼその機能を停止してしまった私的録音録画補償金制度の見直しに向け、Culture First推進団体として、ユーザーの利便性に配慮しつつ、クリエーターへの適切な対価の考え方について「新たな補償金制度創設に係る提言」を発表し、実現に向けて関連団体と協力して取り組んでいます。

1993年に補償金制度が導入されましたが、現状では、私的録音補償金額はピーク時の4~5%に、私的録画補償金については、デジタル放送専用機が制度の対象とはならないと判断されたため、2013年には徴収額が0円となってしまっています。

しかしながら、以前に比べて私的録音が減少しているわけではありません。高性能なデジタルオーディオプレーヤーや大容量の外付けハードディスクなどが、録音や録画の手段として普及しているにもかかわらず、補償金の対象機器とは指定されていないのです。

権利者は、ユーザーが自由かつ無許諾で私的複製ができ楽しむことができることを否定しているのではありません。また、メーカー等、複製手段を提供する者が複製機能を有する機材を大量に製造・販売したり、サービスを提供することにより利益を得ていることを否定しているのではありません。一方で権利者は、作品を創作して社会に提供しているにもかかわらず正当な対価の還元を受けることはできずに、現在の補償金制度のままでは、あまりにアンバランスな関係になってしまっていることを見直すべきであると訴えているのです。

ドイツでは、国や国民全体が文化を大切に守ること、すなわち創作者の権利を尊重したうえで法を制定しており、ともすれば文化より経済を優先する日本との違いを深く感じました。

2020年には東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。知財立国を標榜する日本を、また、日本文化をこの機会に広く世界各国に発信するためにも、Culture First(はじめに文化ありき)の行動理念を、広く社会に訴えていく必要性を改めて思いました。