皮肉な現実 江見 浩一(CARS幹事)
はじめまして。6月からCARSの幹事を務めております江見と申します。よろしくお願いします。私は、20年以上の期間、音楽著作権に携わってきましたが、楽譜の複製とは直接かかわりのない仕事でしたので、初々しい気持ちで取り組ませてもらってます。
先日、楽譜出版社の方々と情報交換をさせていただく機会があり、様々な問題についてお話しをさせてもらいました。参加者の皆さんは、業界の現状や課題について熱心に語ってくださいました。この時の一番のテーマは、ネット上での楽譜の利用のことでした。ほかのコンテンツと同様に、楽譜についても、ネットで簡単に手に入ります。この中には、JASRACの許諾を受けて適法にダウンロードや表示ができるものも多くありますが、残念ながら違法にアップロードされているものが存在するのも事実です。中には、子供たちに「神サイト」ともてはやされているサイトもあるとのことで、このようなサイトの問題は、アップロードする人だけの問題ではない、根深い問題であることを再認識しました。
音楽関連の市場のうち、CD、DVDの売上げが減少していることは、皆さんもご承知のとおりですが、これにネット配信の分野を合わせたとしても全体として縮小し続けています。もちろん楽譜の市場も例外ではありません。
では、音楽を聴く人が市場の減少に連れて減っているかと言えば、決してそんなことはないと思います。例えば、ライブ・エンターテインメント市場は、ここ数年着実に拡大しています。一般社団法人コンサートプロモーターズ協会が公表した2014年度の公演数、入場者数、売上額はいずれも前年を大幅に超えています。このような状況は、音楽が国中の人々に広く受け入れられている証拠ではないでしょうか。
ライブで演奏する人、また演奏の舞台を目指して練習する音楽愛好家に欠かせない楽譜。ライブが増える一方で楽譜の市場が縮小するのは、皮肉な現実です。
前述の市場の縮小が、すべてネット上の違法利用によるものであるとは言えません。でも、これが一因になっていることは間違いないと思います。
今後のCARSの活動においては、ネット上の楽譜コピーの問題に一層力を入れていく必要があると改めて感じました。