[ブログ] 楽譜de散歩
2015.10.30 著作権について など

著作権教育について 関 孝一(CARS監査役/日本音楽作家団体協議会 事務局長)

【執筆者】関 孝一(CARS監査役/日本音楽作家団体協議会 事務局長)

先日、参加した著作権に係る研究会で、「学校における著作権教育のアンケート調査」に関する報告を聞く機会がありました。

これは学校教育段階で児童・生徒に対して著作権に関する内容を指導することについて、教員がどのような意識をもっているかを把握する全国的なアンケート調査で、平成16年度、22年度に続き、今回で(26年度)3回目の実施になります。

著作権教育に関して、昭和60年代から平成10年代にかけては「教育活動を行う教員が、著作権の侵害行為を行わないように」という教員に対する著作権教育が求められていましたが、その後次第に「児童・生徒に対して著作権に関する理解を深めさせる」という児童・生徒に対する著作権教育が重視される方向に移行・拡張してきたようです。

そのうえで今回の全体的なアンケート結果としては、「まず、教員自身が社会の一員として身に付けることが学校教育運営等の面で重要だと感じている教員が多い」という回答項目を選んだ教員の割合が最も多く、次に割合の多かった回答項目が「児童・生徒に対する教育内容として重要だと感じている教員が多い」というものでした。但し、経年の特徴としては、「児童・生徒に~」を選ぶ教員の割合が徐々に高くなっている傾向にあるようです。

また「教員自身が著作権に関する知識を身に付けること」についてどのような意識をもっているかということについては、「児童・生徒に対して正しい知識を教えるために必要」よりも「学校や教員が著作権を侵害することがないようにするために必要だ」という回答割合が今も多かったようです。

調査結果の内容はともかく、報告者で、教員に対して著作権の説明をする立場にもある講師の方の話で印象に残った話がありました。それは「教員は著作権に関して、学校内でこれをやったらだめ、どこまでなら良いのかという例外規定についての質問や関心のある人が多く、著作権制度をあたかも禁止規定のように理解している。そのように理解している教員は、児童・生徒に対しても同様に教える可能性があることから、自分が教員に著作権を説明するときは、著作権は禁止規定ではなく、権利者から許諾を得れば利用できる制度であり、そのうえで許諾不要の例外規定があるのだと説明している」という話でした。

デジタル・ネットワーク化による音楽の流通形態の変化や、技術の進歩による新たな複製手段が現れる現在、著作権という権利があることが、流通を阻害している、という声が残念ながら多く聞かれます。だからこそ、「著作権制度は、これはだめという禁止規定ではなく、権利者の許諾を得れば利用できる制度です」と丁寧に説明する重要性を再認識する機会になりました。