あつぎグランドハーモニカアンサンブルを聴いて 上 明子(CARS幹事/作曲家)
先日、ハーモニカの街として厚木市が共催している、ハーモニカコンサートを聴いてきました。
ソロ演奏や、クァルテットなどもありましたが、私が聴かせていただいたのは、第2部の50数人からなるアンサンブルでした。
元々ハーモニカは年配の方々の趣味と捉えられがちで、現にこのアンサンブルのステージに乗っている方々も、皆さんそれなりのお年とお見受けしました。
このアンサンブルの指導者であり、編曲者であられる甲賀一宏さんは永くご指導をなさりながら、ハーモニカ界を変えていかねば・・・の思いから、クラシックをアレンジして、ハーモニカの世界に新しい息吹をと尽力してきていらっしゃいます。
私もハーモニカ界に少なからずの関わりを持っていますので(複音ハーモニカコンクール審査員)、常にコンサートも聴きに行っていました。
アンサンブルの人数が少し減ったりで心配もありました。ハーモニカの音量には限界がありますから・・・。
ところが、今回は今までとは違う熱を感じたのです。それはなんといっても、甲賀さんのアレンジの良さとご指導の賜物なんだと思います。でも人数も減って、つまり音量も落ちたはずなのに、とっても厚みのある音が会場に届いてきたのです。
そしてそこには、もう一人の立役者がいたのです。第69回全日本学生音楽コンクール高校の部の1位を取られた、ヴァイオリンの杉山和駿さんが加わってメンデルスゾーンのヴァイオリンコンチェルトを演奏してくださったことが、アンサンブルの皆さんへの力になったんだろうな・・と、心から思ったのです。
ハーモニカの楽譜はほとんどが数字譜です。五線譜を読める方は少数しかいません。そんな方々を相手に、クラシックを伝授していく。そこに、これからプロになるための修行中のヴァイオリニストをぶつけて行く。なんともチャレンジャーなことと思いながらも、音楽は理屈ではなく、肌で、心で感じるものなんだと、改めて意識させていただけたことが、私としては感動した部分でした。
5曲演奏した曲の3曲目にコンチェルトを挟んで、その後のアンサンブルだけの演奏も、素直に音楽してる~って感じが伝わってきて、それはとっても素敵で贅沢な雰囲気の時でした。
ほぼ満員の厚木市文化会館のお客様たちが、一つとなった瞬間、その場に私もいられたことに、とても幸せを感じました。お客様たちも、音楽を理屈でなく、肌と心で聴いているんだな・・・と実感したこと。これこそが本当の音楽なのかもしれません。
余談ですが、私は生まれて初めて、「ブラボー!」と叫んでいました。コンチェルトの後に・・・。
そんな自分に「あんた誰?」と問いながら、ふと我に帰り恥ずかしいやら、信じられないやら・・・。
音楽にはプロもアマもないと心から思った瞬間でした。
当日のプログラム(編曲:甲賀一宏)
1 中央アジアの草原にて ボロディン
2 バレー音楽コッペリアより
ワルツ チャルダッシュ ドリーブ
3 ヴァイオリン協奏曲1楽章 メンデルスゾーン
4 世界の民謡(おおブレネリ 帰れソレントへ)
5 フィンランディア シベリウス