[ブログ] 楽譜de散歩
2016.03.25 著作者や作品などの紹介

パガニーニ 江見 浩一(CARS幹事)

【執筆者】江見 浩一(CARS幹事)

悪魔に魂を売ったと言われたヴァイオリニスト、パガニーニ。
クラシック音楽の初心者である私でもよく耳にする名前です。18世紀終わりから19世紀前半に活躍したイタリア人で、超人的なテクニックで観客を魅了するカリスマであったようです。悪魔と取引し超絶技巧を手に入れたと本気で信じる人たちに自分が人間であると証明するため母親からの手紙を公表したとか。

パガニーニは、優れた演奏家であるだけでなく、偉大な作曲家でもありました。しかし、残念なことに多くの作品の楽譜が散逸してしまい、現在聴くことのできる作品は一部にとどまります。それでも、パガニーニの作品は、後続の作曲家に大きな影響を与えています。フランツ・リストの代表曲である「ラ・カンパネッラ」もパガニーニの同名曲の主題を編曲したものです。ほかにも、ブラームスやラフマニノフなど名だたる作曲家がパガニーニの主題を基にした楽曲を公表しています。

パガニーニは、著作権の保護が十分でなかった時代に、楽譜の管理を自らが行っていたようです。自分の楽曲の楽譜出版を好まなかったパガニーニは、オーケストラと共演するときに、リハーサルが始まるまでほかの演奏者に楽譜を配らなかったり、本番終了後には、配付した楽譜を回収したりしたそうです。自らのコントロールが及ばないところで楽譜が使われることに強い嫌悪感を持っていたのでしょう。

翻って現代。最近は、スマートフォンのカメラ機能が急速に発達したこともあり、なんでも撮影される時代になりました。楽譜も例外ではありません。書店や楽器店に並んでいる楽譜。これを開いてお目当ての譜面をスマホで撮影する人が増えています。パガニーニがこの実態を見たら何を思うでしょうか。

CARSでは、このように楽譜を店内で写真に撮る行為をやめてもらうよう呼びかける運動を行っています。「楽譜を撮(盗)らないで!」というキャッチフレーズを掲げ、全国の大型書店や楽器店の御協力の下、POPを立てて案内したり、楽譜が並ぶ本棚に注意喚起するステッカーを貼付したりしています。このような運動が実を結び、適切な楽譜利用が行われることを願っております。

次世代のパガニーニを生むために。