小森昭宏先生とCARS 韓 貴峰(CARS幹事/日本楽譜出版協会)
月日が経つのは本当に早いもので、小森昭宏先生が逝去されてから、間もなく三ヶ月が経とうとしています。参加を予定いただいていたCARSの総会を数日後に控え、あまりに突然の訃報でした。改めましてご生前の当会に対する多大なご功績とご尽力に深く感謝し、謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
小森先生に初めてお目にかかったのは、私が当会に参加させていただくこととなった2012年の会議の席でした。前任者から幹事を引き継いだ後の初会合ということもあり、少々緊張しながらご挨拶させていただいた際、にこやかな笑顔で応えてくださったことで、ぱっと気持ちが楽になったことを思い出します。その後も年に数回の会合でご一緒させていただきましたが、その都度リーダーとしての役割を担われ、様々な楽譜コピー問題に対して指針を示され、時には作家のお立場から手厳しいご意見を述べられながらも、常に穏やかな表情と口調で、会合の雰囲気を和やかにしてくださったことが今でも強く印象に残っております。
小森先生が著名な作曲家でいらっしゃることは、もちろんお会いする前から知ってはおりましたが、まさか、ここまで自分の幼少期に慣れ親しんだ多くの楽曲の著者でいらしたとは、恥ずかしながら存じ上げませんでした。「げんこつやまのたぬきさん」はもちろん、「ブーフーウー」、「連想ゲーム」、「勇者ライディーン」を聴いて育ちました。大ヒットした「黒ネコのタンゴ(小森先生編曲)」にいたっては、歌っていた子供の歌手と私が同年齢、髪形も同じく坊っちゃん刈り、永久歯に生え変わるタイミングで双方見事に前歯も抜け落ちていたこともあり、どこへ行っても “ 黒ネコの子供にそっくり ” と言われた思い出があります。
小森先生とご一緒する機会が持てたことに感謝しております。
今回このブログ投稿を機に、小森先生がCARSに残されたご功績の一端に触れるべく、2007年に始まった企画『対談楽譜コピーについてこう考える』全文を読み返してみました。楽譜に携わっておられる方々を毎回ゲストにお迎えし、楽譜コピー防止等について小森先生と対談していただいております。企画開始当時と現在とではパソコン、携帯電話、コピー機等の機器の進化も著しく、楽譜コピーに関わる環境はめまぐるしく変化していますが、問題点の多くは何も変わっておらず、対談の随所で的確なご指摘、ご見解が語られています。特に印象深かった小森先生の談話の一部を掲載させていただきます。
楽譜をコピーするということは環境問題と似ている面があると思います。結局自分のところへ返ってくる。ユーザーがそのことを実感したときにはもう遅い、という意味でも実際の環境問題と似ていると思うんです。楽譜の発行部数は年々減少しているようです。いつか今のサービスを維持できなくなっていく懸念もある。コピーしようにも元となる楽譜がなくなる、そんな事態もあり得るのではないでしょうか。本当は大切だったんだなと思ったときにはもう遅い、と。(『対談 楽譜コピーについてこう考える』第一回ゲスト 古橋富士雄さん 2007年8月16日 採録より)
先のブログで末吉保雄先生、上明子先生もお書きになっていましたとおり、小森先生が長年にわたって築いてこられた楽譜無断コピー解消と楽譜適正利用に関する指針を次世代へ確実に引継いでいけるよう、尽力していきたいと考えております。