電子楽譜専用端末 韓 貴峰(CARS幹事/日本楽譜出版協会)
先日、今年の秋ごろから米国、カナダ、欧州と日本の8か国での販売開始が予定されている、日本企業開発による電子楽譜専用端末の説明会に参加させていただきました。
電子楽譜専用端末と聞いても、まだまだピンとこない方も多いとおもいます。一般的サイズのピアノ楽譜を譜面台に見開いた状態が、紙の印刷物ではなく、2画面のディスプレイ上に表示され、ディスプレイサイドに軽く触れると次のページが瞬時に表示されるという仕組みです。専用ペンにより楽譜へ自由な書込みが可能、また書込みを消却できる消しゴム機能も搭載されており、書込んだ楽譜を別名で保存することも可能です。
商品概要説明を受けながら端末に触れたところ、電子ペーパーが採用されていることにより軽量、優れた耐久性、見やすさ等、従来の端末に比べて飛躍的に進化しており“ついに電子楽譜も実用化の域に達したか”と感心いたしました。5~6年前でしょうか、タブレット型パソコン、電子書籍専用端末等が一般に普及し始めたころは、これで演奏用楽譜の電子化も一気に進化するかもしれないと期待しましたが、当時は譜面台に置いた時の光の方向、反射等による見づらさ、譜めくりの使い勝手の悪さなど、端末ディスプレイに表示された楽譜特有の問題点が多々あり、実用化には程遠い状況と感じておりましたので、改めて今回の技術的進歩には驚かされました。
楽譜出版に携わる身としては、端末に保存された楽譜デジタルデータの無断コピー等について、セキュリティ対策が如何に講じられているかが最も気にかかる点ですが、セキュリティ上も相当配慮が行き届いており、正規ストア経由で購入され端末に保存された楽譜データは、他の端末では閲覧できない等々、紙の印刷物よりも不正コピーされる可能性は極めて少ないであろうという印象を受けました。
米国での端末販売予定価格が1,600ドルと決して安価ではないことから、先ずはプロ演奏家をターゲットに販売展開し、軌道に乗れば端末価格も下がり、近い将来アマチュア音楽愛好家に購入いただくことも視野に入れているとのことでした。
デジタル機器の進歩はもとより、今後も益々手軽になっていくであろうインターネット環境等により、楽譜の利用形態も日々多様化していくことでしょう。時代に即した楽譜の適正利用が浸透するよう、引き続き啓発活動に尽力してまいります。