[ブログ] 楽譜de散歩
2020.12.18 音楽と社会

コロナ禍にある音楽~音楽の存在の大切さを認識した思い。② 島 茂雄(CARS幹事/日本楽譜出版協会理事)

【執筆者】島 茂雄(CARS幹事/日本楽譜出版協会 理事)

(①から続く。)

9月末に入り、国内や海外のクラシック・コンサートなどが一部の観客を入れて再開されました。ミュージカルや演劇も一部再開されつつあります。学校のクラブ活動である吹奏楽部等は、夏の高校野球大会が中止されたり、コンクール大会が中止されたりして、クラブ活動の場を失いましたが、各県ごとの高校野球大会が一部で開催されて、吹奏楽部やブラスバンド部は、動画をネット配信して応援活動を行ったようです。また、学校ごとのネット配信による吹奏楽の名曲「宝島」の各演奏部分を繋ぎながら動画でリレー演奏するなど新しい部活動の様子が再開されTVでも紹介されていました。

 今年、2020年は、ベートーヴェン生誕250年ということもあり、地元ヨーロッパや日本でも、ベートーヴェン生誕250年記念演奏会が企画されていましたが、中止・延期を余儀なくされたようです。9月になり、地元ウィーン・フィルの公演が再開され9月公演では、最小限の観客を入れてバレンボイム指揮でベートーヴェンの交響曲第5番が演奏された動画がオンデマンド配信されました。日本国内でも9月から各地方のオーケストラがベートーヴェンの交響曲の第1番から第9番までの各曲を演奏会で演奏する様子がTVで放映されていました。日本の著名な指揮者が地方のオーケストラの常任指揮者に就任するなどで熱心な活動を続けていて、演奏力が向上していることを実感しました。自粛中もネット配信を続ける等、我ら地元のオーケストラとして、根付いているようです。一部の弦楽器奏者は、マスクをしながら演奏したり、ベートーヴェン時代の楽器編成に戻して、ソーシャル・ディスタンスを保ちながら演奏するオーケストラ等、工夫をしながらコンサートが開催され始めました。力強い演奏や、熱がこもった演奏は、楽員や聴衆が失われていた演奏会の機会が復活してきた喜びに満ちた演奏でした。

 11月に入り、渡航制限がある中、中止が予告されていたウィーン・フィルの来日公演がオーストリア政府と日本政府との特別許可が出て全公演が実現しました。

 新幹線とバスを貸し切っての移動で,楽員は、ホテルとコンサートホールの往復のみという中で開催されました。公演来場者もほぼ満席で開催され無事に全公演が開催されました。関係者の尽力には、敬服するとともに、私たち音楽関係者に夢と感動と希望を与えてくれたように思いました。

 感染対策をしながらクラシック演奏会や演劇・ミュージカル等が開催され始めましたが、8月から政府のGO TOキャンペーン(トラベル等)が人々の活動に拍車をかけたせいでしょうか10月中旬ごろから感染者が急に増え第三波という大きな波が三度来てしまいました。世界中でも第三波が覆い始めている中、英国、米国でコロナ用ワクチンの緊急使用許可が出たとはいえ、まだ、まだ、新型コロナウイルスが感染拡大しています。国内のPOPSの年越しライブや年末の紅白やウィーン・フィルのニューイヤーコンサートは、無観客ライブで、TV放映やネット配信の予定のようです。コロナ禍にあって、改めて音楽は、世界中の人々の心を潤すことを実感しました。

 PC、iPad、スマホだけでなく、TV接続用WiFiネット配信受信用USB(HDMI) ストリーミングメディアプレーヤーも発売され、ネット配信やオンデマンド配信に対応しています。音楽、映画、TVドラマ、スポーツ中継、ドキュメンタリー等がネット配信やオンデマンド配信によってTVで見られるようです。

 コロナ禍で人々の心の交流が途絶えそうになっていますが、コロナ禍にあって新しいネットメディアを活用することで、改めて、音楽は、人々の心の絆を蘇らせることができるのではないかと思いました。

 小生がウィーンを訪れた時、ウィーンの街中のグラーベン通りにあるシンボル的な存在でペスト禍の記念像 (ペスト記念柱(三位一体像))がありました。ペスト終焉の感謝と亡くなった人への祈り、もう二度とこの街をペストが襲わないようにという願いがこめられているそうで、人類がペスト感染病を克服した記念像だそうです。見た時はちょっとショッキングでした。今回、新型コロナウイルス感染症が世界中に蔓延しパンデミックが起きた時、このウィーンのペスト禍記念像を思い出しました。

 ウィーンで活躍したベートーヴェンは、音楽家として致命的な難聴の病の中にあって、この難病や人生の失望の中から克服の勝利や歓喜を全9曲の交響曲やピアノ・ソナタ等を通じて訴えているように思います。画像サイトにあったマスクをした楽聖ベートーヴェン画像は、生誕250年の2020年以降に人類がコロナ禍を克服する日がくることを期待しているように思えてなりません。

 先程のイギリス人とドイツ人の友人は、メールの最後に、「STAY SAFE」と綴っていました。

 皆さん、どうぞご自愛くださいますようお祈りいたします。

2020.12.16(ベートーヴェン生誕250年のこの日に)

一般社団法人日本楽譜出版協会のホームページ http://www.j-gakufu.com/