[ブログ] 楽譜de散歩
2021.08.17 音楽と社会

Withコロナ禍、奇跡のウィーン・フィル2020年日本公演 ~困難の中でこそ音楽の力を伝えたい~② 島 茂雄(CARS幹事/日本楽譜出版協会理事)

【執筆者】島 茂雄(CARS幹事/日本楽譜出版協会 理事)

【執筆者】島 茂雄(一般社団法人日本楽譜出版協会・理事・事務局長・著作権委員会名誉委員・前制作委員会委員長/CARS幹事)

(①から続く。)

 ウィーン・フィルは、1956年に指揮者で作曲家のパウル・ヒンデミットとともに小編成で初来日し、1959年、H.V.カラヤン指揮でウィーン・フィルの世界演奏旅行の最中に本格的な日本公演(当時の映像や録音が残っています。)を行って以来、通算36回におよぶ日本公演を実施してきたウィーン・フィル日本公演のこうした実績が、日本とオーストリア両国の政府を動かし、両国政府の協力と協賛企業の協力のもと実施されました。ウィーン・フィル2020年日本公演の様子は、「ウィーン・フィルの2020年来日公演、奇跡の11日間」として、TVニュースやドキュメンタリー報道番組(BS-TBS)でも報じられました。公演来場者もほぼ満席で開催され、無事に全公演が開催されました。公演は、ワレリー・ゲルギエフ指揮で演奏されたチャイコフスキーの交響曲第6番『悲愴』やストラビンスキーのバレエ音楽『火の鳥』等で、超名演でした。また、青少年プログラム・コンサートも開催され、当日、コンサート会場に来場できなかった仙台の東日本大震災の被災地の学生たちのために、後日、演奏動画配信も行われました。全8公演で約15,000人の聴衆がウィーン・フィルの音楽を堪能したそうです。

 ウィーン・フィル日本公演の事前の企画、交渉コーディネートからプロデュースまでをしていたサントリー・ホールのエグゼクティブ・プロデューサーの真鍋圭子さんは、「コンサート終演後お客様が『BRAVO!』の横断幕が掲げられるとウィーン・フィル楽員の中には、涙する人もいて、楽員たちは、『来日して公演してよかった。』と語っていました。」と話されていました。関係者の尽力には、敬服するとともに、私たち音楽関係者に夢と感動と希望を与えてくれたように思いました。

 クラシック音楽関係者だけでなく、コロナ禍で演奏会やライブ・コンサートやイベントを開催できないでいた音楽業界に関わる人々にとって、演奏会やライブ公演の開催のあり方に、自信と希望をもたらしたと思います。私たちのWithコロナ禍での感染症対策を講じた演奏会の在り方の実践が実現されたように思いました。

 その後、政府のライブ公演等のコロナ禍での入場制限規定の中、POPS関係は、まだ、オンラインコンサートが多いですが、演奏会や一部のPOPSのライブ・コンサートも再開されました。「ウィーン・フィルの奇跡の2020年日本公演」は、日本の音楽業界関係者だけでなく、音楽ファンにとっても大きな自信のきっかけになったように思いました。演奏会やライブ・コンサートが開催されることは、音楽ファンばかりでなく、演奏者、音楽関係者にとって、コロナ禍におけるWithコロナ禍での公演のありかたと音楽ファンとって「音楽の力」の存在の再認識につながったように思います。

 今年になって、3度目、4度目のコロナ感染拡大の波がきても、Withコロナ禍の中で、政府による入場規制はあるものの出演者関係者等の徹底したPCR検査等の感染症対策の実施をすることにより、演奏会やライブ・コンサートの再開実現に向けて、音楽や演劇ばかりでなくイベント関係者の努力と実践には、敬意を表したいと思います。

 最後に、このようなコロナ禍の状況にあって、医療従事者の努力と実践には、改めて、敬意を表したいと思います。コロナ・ワクチン接種が進行してきているとはいえ、コロナ変異株で再感染拡大が多いに懸念されています。

皆さん、どうぞご自愛くださいますようお祈りいたします。

2021.07.25(TOKYO2020開催中の日に)

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