Withコロナ禍、東京2020オリンピック・パラリンピック ~困難の中でこそスポーツの力を~② 島 茂雄(CARS幹事/日本楽譜出版協会理事)
【執筆者】島 茂雄(一般社団法人日本楽譜出版協会・理事・事務局長・著作権委員会名誉委員・前制作委員会委員長/CARS幹事)
(①から続く。)
最後には、2024年パリ五輪への引き継ぎが行われました。
オリンピック旗を降ろされる時にスピロ・サマラス作曲「オリンピック讃歌」が演奏されました。ソプラニスタでソプラノ歌手の岡本知高が「オリンピック賛歌」を英文歌詞で歌い、オーケストラ演奏は、NHK交響楽団の演奏でした。この「オリンピック賛歌」は、1958年ごろギリシャのIOC委員が原曲のピアノ譜を発見し、日本のIOC委員に送られてきました。日本のIOC委員からNHKにオーケストラ編曲を依頼され、古関裕而が編曲し、NHK交響楽団が演奏録音したと言われています。1964年の東京大会以降、各オリンピック大会での開会式や閉会式でオリンピック旗の掲揚時に、この古関裕而編曲の「オリンピック賛歌」のオーケストラ編曲が使用されているようです。感動的な名曲です。
そして、閉会式のクライマックスである聖火納火の音楽に、世界的シンセサイザー・アーティスト冨田勲の代表作でフランスの作曲家ドビュッシーの「月の光」のシンセサイザー編曲が使用され、聖火が納火されました。東京2020オリンピックが終了した瞬間でした。
閉会式の音楽は、国際的に知られている国内外の著名な音楽がいくつか採用されましたが、1964年東京五輪の開会式の時のようなオリジナルな曲で日本の音楽文化の音楽が披露されなかったのが少し残念でした。しかし、日本の盆踊りの曲である「東京音頭」が披露されると、海外選手たちも見よう見まねで笑いながら踊っていた光景は、オリンピックで世界が一つになれる祭典のようすを垣間見せてくれたように思えました。
そして、1964年の東京五輪の閉会式の時のLEDビジョン(電光掲示板)のメッセージ「SAYONARA」と同じフォント(文字デザイン)で「ARIGATO」が表示されました。イギリス人選手たちのユニフォームにも「ありがとう東京」の表示もありました。海外選手たちが、選手村と競技場だけの限られた環境の中で、会場の案内や進行や選手村の食事や美容室やトレーニングルームなどでの対応に、7万人のボランティア活動の「おもてなし」には感謝していて、コロナ禍が終わったら日本にまた来日したいと海外選手のブログに書かれていて、SNSにアップされているようすをニュースで紹介され、心がホットできる話題でした。日本や世界中がコロナ禍で困難な時代にあって、世界中のアスリートが集い「スポーツの力」を世界中に伝えてくれた選手たちから、日本人の「おもてなし」、「ありがとう」の心が海外の選手たちから「日本ありがとう」と感謝してくれて、再度、感動をしました。
東京2020オリンピックは、8月8日閉幕しました。57年ぶり2度目の東京2020オリンピックには205カ国・地域と難民選手団を合わせて約1万1000人の選手が集い、史上最多の33競技339種目を実施されました。新型コロナウイルスの影響で多くの会場が無観客で競技を行う中、日本のメダルは金27個、銀14個、銅17個、総数58個や各競技の入賞などで、ともに史上最多を大幅に更新しました。内外のアスリートによる多くの感動的なシーンを伝えてくれました。
次回2024年の夏季五輪はフランスのパリで開催されるそうです。芸術の都での開催は、少し楽しみです。東京2020オリンピックは、8月24日からの東京2020パラリンピック開催に引き継がれます。アスリートの活躍と大会の開催無事完了を祈念します。
筆者にとって2度目の東京オリンピックでした。1964年の時は、小学生5年生でした。小学校の鼓笛隊で地元の聖火リレーの引継ぎ式で演奏した記憶があります。また、当時は、モノクロTV放送で、体操や女子バレーボール、男子マラソンと閉会式を見た記憶があります。その後、市川崑監督のカラー映画「東京オリンピック」を両親と映画館に見にいった記憶があります。東京オリンピックの開会式の音楽は、ソノシート・レコードで良く聞いていました。私のスポーツと音楽の原点でした。1964年東京大会以来、1968年メキシコシティー大会でのサッカー、1972年ミュンヘン大会での男子バレーボール、1984年ロサンゼルス大会での体操と柔道、1992年バルセロナ大会での柔道と競泳、1996年アトランタ大会でのマラソン、2000年シドニー大会でのマラソン、2004年アテネ大会での競泳と体操と野球、2008年北京大会でのソフトボールとレスリング、2012年ロンドン大会での体操と競泳と卓球、2016年リオ大会での陸上競技とレスリング等のアスリートたちの熱い活躍の感動の記憶が残っています。
今回の東京2020オリンピックは、世界中がコロナ禍のパンデミックの中にあって困難な時代の中で開催することで多くの問題がありましたが、前回のリオ・オリンピックから5年間のアスリートの苦難と努力に対して、報いることができたでしょうか?東京で開催するメリットとしての会場観戦は、残念ながら無観客開催でできませんでしたが、多くの競技をNHKや民放でTV放送され、また、ネット動画配信やスマホでの画像や情報を得られる時代にあって、多くの競技のスポーツの感動の力を改めて感じました。
最後に、このようなコロナ禍の状況にあって、医療従事者の努力と実践には、改めて、敬意を表したいと思います。コロナ・ワクチン接種が進行してきているとはいえ、コロナ変異株で再感染拡大が多いに懸念されています。
皆さん、どうぞご自愛くださいますようお祈りいたします。
2021.08.08(TOKYO2020オリンピック閉会式の日に)
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