第18回ショパン国際ピアノコンクールとその後の演奏会 (Withコロナ禍のライブ演奏会) 島 茂雄(CARS幹事/日本楽譜出版協会理事)
~困難の中にあるのだから、音楽の力を伝えたい~
昨年の10月に第18回ショパン国際ピアノコンクールの様子がLive映像配信されていると娘に聞き、パソコンやスマホで最初は見ていました。日本人の反田恭平氏、角野隼斗氏、小林愛実さんが予選で勝ち残る頃より、Fire TV Stickを利用して大型TVで見始めました。ポーランド・ワルシャワのフィルハーモニー・ホールからのライブ中継で、日本では、深夜の中継になり、第3予選通過結果発表や本選ファイナル結果発表もドキドキしながら見ていました。まるで、欧州で開催されるオリンピック中継を深夜に見ているようでした。YouTubeの画像や音源も主催者のフレデリック・ショパン研究所(Fryderyk Chopin Institute)からの直接映像による4K高画質放送で配信されていました。音楽コンクールを生中継されることは日本では今までほとんどなく、一昨年のショパンコンクールはコロナ禍で中止されたこともあり、画期的なというかコロナ禍でネット配信技術が進んだことによる影響といえるでしょう。「東京オリンピック・パラリンピック2020」でも多くの競技が同時にネット配信されていました。

26歳のショパン肖像画(マリヤ・ヴォジンスカ画1836年)(ワルシャワ国立博物館:所蔵)
第18回ショパン国際ピアノコンクールは、ワルシャワで2021年10月2日から23日にかけて行われ、優勝者には金メダルと優勝賞金4万ユーロが与えられたそうです。第18回ショパン国際コンクールの出場者は、予備予選審査参加者の164名うち本選出場資格を得たのは中国22名、ポーランド16名、日本14名、韓国7名、イタリア6名を含む全87名。日本からは、角野隼斗氏、反田恭平氏、古海行子さん、前回ファイナリストとなった小林愛実さんら話題のピアニストたちが予備審査を通過し本選に出場しました。これまでにも増して、アジア勢の活躍が顕著な大会となったようです。

ショパン「練習曲」ハ短調OP.10-12 ”革命”冒頭自筆譜(R.ナイダル・コレクション:所蔵)
第1次審査から第3次審査までは、ショパンの代表曲のエチュード、ノクターン、ワルツ、ポロネーズ、ソナタ、マズルカ、前奏曲等の曲が演奏されました。トップ10の参加者は、いずれも素晴らしい演奏を披露しました。また、今回から課題曲以外にも任意選択曲の枠があり、珍しいショパンの曲を演奏した参加者もいました。本選のファイナル時は、恒例のショパンのピアノ協奏曲の演奏となり、オーケストラとの演奏実力が試されることとなりました。最後の曲なので、ドキドキしながら反田恭平氏や小林愛実さんの演奏を聴きました。ファイナルの結果発表は、審査協議が長引いたため、日本では朝方の発表になりました。報道等でご存じのように反田恭平氏が第2位、小林愛実さんが第4位の入賞結果となりました。第2位は、内田光子さん以来の快挙となりました。
第1位は、ご両親が中国人でパリ生まれ父が画家でカナダに国籍のある国際派のピアニスト、ブルース・リウ氏が受賞しました。
日本人の二人、反田恭平氏と小林愛実さんのコンクール入賞のニュースは、ニュース番組ばかりでなく、ニュース・バラエティ番組でもコンクール映像とともに何度も紹介されました。コロナ禍において「東京オリンピック・パラリンピック2020」以降のビック・ニュースとして伝えられました。

「ラジーヴィウ公爵邸のサロンで演奏するショパン」(H.シェミラズキ油絵1887年)
お二人が帰国してからも各番組でオリンピックのメダリストのように、紹介され、スタジオ生番組で凱旋演奏をされていました。インターネットでの情報拡散や第18回ショパン国際コンクールの演奏画像のネット配信の継続紹介や雑誌での記事等ばかりでなく多くのSNS等の新しいネットメディアでの情報拡散によるお二人の活躍が紹介されていました。このことが多くの音楽ファンやピアノ教室で学んでいる生徒さんたちへの影響になれば、ショパンのピアノ名曲とともに音楽人口の増加に貢献してくれるのではないのでしょうか?コンクールライブ配信後もコンクールでの演奏映像をネットで何度も鑑賞でき、ショパンの楽譜を見ながらそれぞれの入賞者の演奏を何度でも鑑賞して、演奏の違いを娘と感想や意見を交わしました。
その後、12月に反田恭平氏や小林愛実さんの凱旋リサイタルのコンサートが開催されましたが、チケットはネット発売10分くらいで完売。もともと人気があったお二人ですが、TVやネットの影響もあり人気のすごさを感じました。
娘は、今年になっての反田恭平氏の凱旋リサイタルのチケットが当たり、コンサートを堪能してきたようです。12月に海外のコロナ禍が感染拡大により海外からの渡航者が入国禁止になったことで外国人指揮者やピアノ奏者等の演奏者が入国できなくなりました。1月の新日本フィル・コンサートでは、外国人指揮者に代わり、来年に新日本フィルの音楽監督に就任する佐渡裕さんが代替の指揮することになりました。外国人ピアノ奏者の代わりに佐渡裕さんと親しい反田恭平さんがピアノ協奏曲を演奏することになり、小生も偶然に佐渡裕さん指揮、反田恭平さんのピアノ演奏によるベートーヴェンピアノ協奏曲第5番「皇帝」を聴けることになりました。それまでショパンに集中していた反田恭平さんですが、中々堂々としたピアノ協奏曲「皇帝」を演奏していました。アンコールに、ショパンの「マズルカ」演奏して、聴衆を喜ばせて拍手喝采でした。
また、2月に入ってNHK交響楽団でも渡航者の入国禁止の影響により外国人ピアニストから小林愛実さんに交代されるコンサートがあり、シューマンのピアノ協奏曲の演奏会がありました。3月にも彼女の凱旋リサイタルが予定されていますが、偶然にも小林愛実さんのシューマンのピアノ協奏曲を聴くことができ、ロマン的で暖かく力強いシューマンの演奏を聴くことができました。
やはり、アンコールでは、ショパンの「ワルツ」が演奏されて拍手喝采でした。
小生が最初にクラシックの演奏会を聴いたのは、中学生のころ父と行った安川加寿子さんのピアノ演奏で若杉弘さん指揮・読売日本交響楽団のベートーヴェンピアノ協奏曲第5番「皇帝」とベートーヴェン交響曲第5番でした。
その後、ピアノ演奏では、79年、88年来日公演のリヒテル、86年来日公演のホロヴィッツを始めに、ミケランジェリ、アルゲリッチ、ポリーニ等のリサイタルやピアノ協奏曲で往年の大巨匠の名演奏を聞いてきました。それぞれ驚愕的な名演奏の記憶が今でも残っています。日本人では、中村紘子さん、内田光子さん、小山実稚恵さん、横山幸雄さん等の日本の名演奏家も聞いてきました。皆さん、国際ピアノコンクールの優勝や入賞者の皆さんで国際的に活躍しています。
今後、反田恭平さんや小林愛実さんもすでに国際的に活躍されていますが、さらなる大活躍されることを祈念しています。そして、これを機会に音楽ファンや音楽教室のピアノ演奏の生徒さんが増えることを祈念しています。
コロナ禍の中で、演奏会が少しずつ再開されてきました。生演奏が聴ける演奏会の再開は、改めて「音楽の喜びと感動」を私たちに伝えてくれます。
1月に入ってから感染力が強力なオミクロン株が感染拡大しています。演奏者の方々や音楽関係者の方々の環境管理も大変なことと思います。医療従事者の方々は基より、エッセンシャルワーカーの方々の努力と協力があっての音楽関係のイベントが開催できていることに改めて感謝申し上げます。
また、先日まで中国で開催されました「冬季北京オリンピック2022」で活躍されたすべてのスポーツ選手からコロナ禍の世界での「スポーツの喜びと感動」を「東京オリンピック・パラリンピック2020」以来、再び、大きな感動を与えてくれたことに感謝しております。
最後に、2月に映画で封切りされましたスティーブン・スピルバーグ監督、レナード・バーンスタイン音楽、ミュージカル映画「ウエスト・サイド・ストーリー」を劇場での上映を見てきました。1961年の映画「ウエスト・サイド物語」、2019年のブロードウェイ・ミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」東京公演やバーンスタイン弟子の佐渡裕指揮の「クラシック曲『ウエスト・サイド物語』からのシンフォニック・ダンス」等を鑑賞してきましたが、指揮者として有名なレナード・バーンスタインが作曲家としての天才ぶりにこの映画でも再度、再度、感動いたしました。
詳細は、またの機会に報告したいと思います。