CARSフレンドだより 松下 功(日本作曲家協議会会長/作曲家)
社団法人日本作曲家協議会(Japan Federation of Composers – JFC)は、現在450名程の会員が参加する作曲家の組織です。1962年に設立され、今年で丁度50年の節目の年を迎えています。設立以来、日本における作曲家の地位向上、作曲活動の奨励、国際交流を中心に様々な活動を行ってきました。
作曲家の地位向上のための活動としては、著作権問題、文化活動の活性化等に関して他団体とも連携を取りながら文化庁、日本音楽著作権協会との交渉などを行っています。また、団体として健康保険組合にも加入しています。
作曲活動の奨励としては、「日本の作曲家」、「こどもたちへ」、「アンデパンダン・コンサート」、「JFC作曲賞」、「アジア音楽祭」などの演奏会を開催しています。これらの会では海外を含めて多くの作品を上演し、大きな反響を得ています。
そして、国際交流としては、アジア作曲家連盟 (Asian Composers League – ACL)に、連盟発足時より日本支部として加盟し、これまでに1974年(京都)、1990年(東京―仙台)、2000年(横浜)、2003年(東京)に、アジア作曲家連盟総会・音楽祭という1週間にわたる国際音楽祭を開催してまいりました。また、1993年以来、国際現代音楽協会 (International Society for Contemporary Music – ISCM)の准会員として参加し、世界の音楽家たちとの交流を行っています。
経済力の発展と共に世界における日本の地位は向上し、日本人の文化・経済・科学の分野での活動は大変活発化し、また大きな成果を上げています。日本の作曲家たちの活躍も目を見張るものがあります。
戦後60年を越え、情報網が発達し、今、世界はグローバル化へと進みつつあります。しかし、グローバル化は文化の面では、一元化という些か心配な面も含んでいるように思います。ある所での出来事が、その情報網に乗って世界を駆け巡るのには、さほどの時間を要しません。人間が作り上げたその情報網は便利である反面、限られた情報量の中で真実を伝えきれない側面もあります。それを誰が、どの立場で、誰に伝え、何を訴えようとしているか、それによってこの情報は様々な異なった理解、あるいは誤解を生み出していきます。政治、宗教、経済、芸術、スポーツなどの情報は、インターネットを通じていつでも共有することは出来ます。しかし、その情報だけで、安易に理解したと思い込んでしまう危険性をいつも含んでいます。いくら正しい情報を送ろうとしても、人はそれぞれの環境、それぞれの文化圏では全く異なった理解をしています。それこそが文化の違いの素晴らしさであり、危険な要因でもあります。しかし、異なった文化がこの地球に存在することこそが、我々人間に与えられた“芸術”を生み出す根源でもあるように思います。現在、この地球には70億もの人間が、異なった文化と環境の中で暮らしています。それらの人々に、一つの情報を同じように理解させることは不可能です。それぞれの情報を、そしてその理解を認めあうこと、それぞれの活動を尊重し合うこと、それぞれの文化に対する尊敬の念を常に持って、情報を扱わなければならないと私は考えます。文化の交流は、他を理解し尊敬しあうために最も優れた存在です。『国は軍備で守らず、文化で守る』と、故五島昇氏は発言していました。軍事施設は真っ先に攻撃の的となるが、文化施設、文化財は人間の尊厳であり、どんな人間でも守るべき存在です。文化活動、取り分け芸術活動を更に促進し、国の誇りとすることが、世界から尊敬され、より国を発展させことに繋がると・・・・という発言は、やはり文化人からの意見ではありますが・・・・。
我々、日本作曲家協議会の会員もそれぞれに異なった作品を書いて、様々な活動を行っています。現代音楽、電子音楽、環境音楽、合唱、童謡など様々な分野で活動を展開しています。そして、それぞれに素晴らしい作品を書いています。それらの活動を出来るだけ多く紹介し、互いの理解を深め、共に奨励しあっていく場を提供したいと、我々JFCの理事一同は考えています。作曲家はそれぞれに自分の作品を大事にしています。その“それぞれに”を、互いに聞きあい、理解しあい、尊重、尊敬しあうことが、作曲界、音楽界の発展に最も大切なことではないでしょうか。
JFCは今年もいくつもの音楽会を開催します。そして、2014年にはACLの総会・音楽祭を兼ねた『アジア音楽祭2014』を開催したいと計画を進めています。どうぞ多くの作品をお聞きいただき、その素晴らしさをご理解いただき、そして尊重しあって頂けますようお願い申し上げます。