[ブログ] 楽譜de散歩
2013.07.12 著作権について など

CARSフレンドだより 金川 明裕(東京都合唱連盟理事長)

【執筆者】金川 明裕(東京都合唱連盟理事長)

CARSのブログに寄稿するにあたり、楽譜を作る側からだけではなく、使う者サイドの意見もまた為されるべきと考えました。
そこで私が理事長を務めます東京都合唱連盟(以下、都連)の意見を集約し、書かせていただきます。

近年、知的財産権保護に関する意識の高さには目を瞠るものがあります。けれども私が連盟の役員になりました10年位前は、「何故そんなに目くじらを立てるの」という雰囲気が蔓延していました。

丁度埼玉の合唱講習会でコピー譜が使われ、そのことがNHKで放送され問題視された折でした。総会にも議題として上がりましたが、議長の「なるべく注意しましょう」という一声で終わろうとしましたので、私はこのままではいけないと思い、「明らかな違法行為なのだから、公益団体として全面禁止を打ち出すべき」と主張しました。

以来合唱連盟ではコピー絶滅にむけ努力を続けています。

その一例。東京都合唱コンクール参加規定より...

「外国版や絶版の楽譜、未出版の楽譜、曲集の一部分使用については著作権、出版権等の権利者の承認を得て、日本音楽著作権協会など著作権管理者の許諾を得たものに限ってコピーでも可とする。コピー使用の場合は権利者の承諾書の写しを提出楽譜全てに添付すること。承諾書の用紙は打合会で配布する。
著作権管理者が日本音楽著作権協会以外である場合もあるので注意すること」

審査要素のある大会では、複数部楽譜の提出を求め、その楽譜に問題がないか厳しくチェックしています。

また各種講習会では、参加者がコピー譜を使用している場合、出版されている楽譜を購入いただくため、わざわざ用意しておくなどの取組みもしています。

然し、著作権に関し版面権など我が国では認められていない部分があり、公式のコメントとしてプログラムなどで啓蒙活動ができていない、というのが現状です。

何故楽譜コピーの問題が無くならないのか考えてみますと、つまるところ利便性と経済性の2つであろうと思われます。
例として、地方の中学校合唱部を想定して話を進めます。

春、新入部員を漸く確保した顧問の先生は夏に控えたコンクールを睨み、自由曲の選定に入ります。候補曲を数曲に絞り込む作業ですが、この段階ではご自分の譜面は出版された正規のものなのだと思います。

3曲ぐらいが残ったとして、それが組曲であった場合、まずはコピーして部員に渡し演奏してみて一曲に決める。まあ、これが普通の流れでしょう。今やコピー機の無い学校なぞ存在しないのですから。

問題はこの次です。演奏する曲が決まって楽譜を部数揃えなければならないのですが、一週間程度はロスがでます。
使用する部分のコピーは既にある。保護者へ金銭的な負担をお願いするロスも併せて考えますと、「まあ、いいか」となってしまう。

ざっと、こんな構図でしょう。

コピー機など無ければ、こんな問題も起こらなかったでしょうが。事実、私の若い頃は、手に入らぬ譜面は写譜していました。五線紙のガリ版を切るのは、それはそれは、大変な手間でした。あれなら誰もやらない。

繰り言を幾ら並べても、一度便利になった世の中を元に戻すことはできません。スマホで情報が得られるのに、図書館へ出向くのは時間の無駄遣い、ということです。

都連のメンバーからの要望です。

① 初版をもう少し増やして、版切れを防いでほしい。現状では、初版は商品見本のようなもので、直ぐにオン・デマンドになってしまう。当然割高になってしまいます。
② 在庫を増やさないために、オン・デマンドにするのであれば、ピース売りを検討してくれませんか。1冊\1,800ぐらいはざらな昨今。もし\400~\500で手に入れば、コピーの質、手間を考えますと、購入に向かうのではないでしょうか。

どちらも出版業界への注文になってしまいましたが、貴協議会には合唱団体の事情に合ったガイドラインを策定していただき、PDF等で公開してもらえたら、都連としても問題を共有し易くなります。

連携し合い、音楽というフィールドを少しでも拡げてまいりましょう。

東京都合唱連盟のホームページ