[ブログ] 楽譜de散歩
2016.11.25 著作権について など

コピーあれこれ 末吉 保雄(CARS代表幹事/作曲家)

【執筆者】末吉 保雄(CARS代表幹事/作曲家)

最近のことです。要するに、以前「 “ 研究用 ” としてコピーしてもらった楽譜(市販の楽譜からのコピー)」を “ 演奏会での演奏 ” に用いる例をめぐって考えることが有りました。

曲がPDでなければ・・・ 、演奏会が有料なら・・・ 、まずは、JASRACに申請して「演奏会での利用」に際して発生する “ 演奏の著作権料 ” を支払ってください。この点の理解は、まあだいぶ行渡ってきました。

だが、さて「使用する楽譜」については、どうでしょうか? “ 研究 ” に用いたときの書き込みも有り、自分が見慣れた楽譜を使って演奏する・・・ 自分だって当然そうしたいところですが・・・ 何か留意しておくことが有るでしょうか?

それが私の曲だったら? ええと・・・ 市販の楽譜が出ているので、まあそれを使ってほしいな・・・ と思いますね(心のなかで)。でも、「すぐに買ってください」とは言いにくいですね(相手によっては)。そこで、・・・ 自分が購入した楽譜をその人に進呈します(むしろ、早くから “ 進呈 ” しておきます)。つまり、自作の “ 売り上げ ” を自分が上げているわけですが、楽譜がタダで使われたわけではありませんね。

そうはしても、実際には、やはり “ 研究用 ” のコピーを使って演奏されるでしょう。 “ 使い慣れた楽譜 ” で演奏する方が、なにかと “ 安心 ” ですから。でも、演奏会で演奏するなら、著作権者の許諾が必要なんですね。

問題は、「正当にコピーされた楽譜」の『転用』は、現実に多く行われていますが、「『転用』は正当でない」ということでしょう。

譜メクリを容易にするために、コピーして用いる・・・ 当人が市販の楽譜を購入していて、その補助として用いる・・・ これは許容されると理解して良いでしょうか?

あるいは、購入した市販の楽譜がキレイなので、ここに書き込みをしたくない。そこでコピーして、これに沢山書き込みをする(・・・ 時と場合によっては、ほんとうに沢山の書き込みが必要になります。年寄りの私など、眼鏡の着脱まで注意書きします・・・ そんなことはキレイな楽譜に書き込めませんから)。でも、この場合、コピー譜を使って弾くことは許されるでしょうか?

イヤイヤ・・・ 、どちらも演奏会のためなら・・・ 許諾が必要なんですね・・・ 法律上は。

ともかく、『演奏会で用いる楽譜は、まず自分で購入する』、そのことの優先性に留意しましょう。

さて、しかしもし、研究用のコピー譜が、市販されていない楽譜(たとえば手稿譜だったり、作曲者のPCから送信されたデータ)だったらどうでしょうか?以前にもたびたび書いたこと、つまり「近年、作曲家は、五線譜に手書きして作曲することが少ない」ことを思い出してください。

正解は、「 “ 演奏会での演奏 ” に用いる楽譜の『転用』の、この場合の正しい処理の仕方を、JASRACに問い合わせること」でしょう。

自慢とは違いますが、長い勉強ののちですから、私は、膨大なコピー譜を所蔵しています。「こんな昔に、こんな珍しい曲を、こんなにも良く勉強している」と自慢できる例も有ります。このあいだも、つい後輩にその一つを貸したところ、感激して “ ぜひ弾いてみたい ” とのことでした。嬉しかったのですが、ふと、「公開して良かった楽譜だったかな?」と心配になりました。しばらくして、「そうか、その曲は時効か。もうPDになっているものな・・・ 」と安心しました。でも、そうでもない場合も無数にあります。油断も隙もありません。