コースに立つ 脇澤 一弘(CARS幹事)
私が初めてゴルフコースに立ったのは、昨年、52歳の春。仕事を通じての親切な友人が、尻込みする私を引きずるように、千葉のとあるコースに連れ出してくれました。思い返せば、かつて勤務先近くにあった室内レッスン場で壁打ちを重ね、自宅から100円バスで50球800円の打ちっぱなしに通い、6年以上の歳月をかけて、ようやくそこに辿り着いたのです。俄かで購入したウェアに袖を通し、シューズを履いて、おそるおそるカートに乗り込み、到着したスタート地点で辺りを見渡すと、これまで見たことのない景色が広がっていました。晴れ渡る青空に、一面の緑、木々が風に揺れ、遠くで鳥の鳴く声が。通勤電車で自宅と会社を往復し、事務所内で多くの時間を画面とにらめっこしている日常とは、まったく別の世界が、そこにはあったのです。そんな感慨に耽っていると、手で握られた鉄の棒4本が差し出され、その中から引いた1本には下側に溝が一つ。どうやら打つ順番を決める籤だったようで、若葉マークの私が一番手。どうしよう。
心の中に、『期待』と『不安』を測る天秤があるとすれば、およそ10代、20代のころは、何をやるにしても、「ドキドキ」「ワクワク」が乗っかって、『期待』に振り切れていたように思いますが、そこは50代。肉厚の「体面」(失敗してみっともないことになっちゃうのは嫌)、濃いめの無駄な「プライド」(頑張ってきた50年の人生を甘く見ないで)がトッピングされ、『不安』マシマシで胃がもたれる重さです。
そんな中、覚束ない手つきでティーアップし、ドライバーを構えて、記念すべき第一打。振り下ろすと、「キィン」と思いのほか乾いた音を残して、秤の上の『不安』と一緒に、ボールが空に消えていきました。
その後も、周囲にはご迷惑をかけながら、本人はすべてに新鮮な楽しさを感じつつ、なんとか18ホールを回り終えたのでした。爽快。
歳を取ってから新しいことを始めるって、本当に心のハードルが高いものですね。その分、乗り越えた先には、より大きな感動が待っている気がします。
しっかし、パターって難しい。グリーン上を行ったり来たり、一人でぐるぐるバットをしているように、目が回ってしまいました。どなたかコツを、教えていただけませんか。
では。
