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対談「楽譜のコピーについてこう考える」
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<プロフィール>
大学合唱団のメンバーの方々
副学生指揮者・菅野章平くん
中央大学音楽研究会グリークラブ
副学生指揮者・菅野章平さん
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前楽譜部長・加藤雄一朗くん
東洋大学白山グリークラブ
前楽譜部長・加藤雄一朗さん
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副学生指揮者・高橋雄太くん
大正大学混声合唱団
副学生指揮者・高橋雄太さん
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合唱団にもそれぞれ個性がある 楽譜探しの苦労と、経済的問題
「8割が初心者」のなかで 楽譜は大学4年間の「足跡」
中高生はなぜ合唱を続けないか? 著作権についての知識を共有したい
   
4.楽譜探しの苦労と、経済的問題
〜混声や女声に比べると男声合唱の楽譜ははるかに少ないです。〜(菅野)
〜少なからず悪いことなのではないかという意識もありますが、経済的な面から、コピーもしょうがないじゃないかという感じも確かにありますね。〜(高橋)
小森:
合唱のレベルが格段に上がっている、とお話しましたが、曲に対する知識や情報も昔よりはるかに広がっていると思うんですね。その広い知識のなかから今年はこれをやろうって選曲していく、そのときに実際に手に入る楽譜ってすごく少ないんじゃないかと思うんですが、その辺はどうですか。
高橋:
自分は曲をやりたいと思ったときには、部室に並んでいる楽譜をまず見て、なかったら書店か楽譜店で立ち読みして、演奏できそうか見てみるんですけれど、どうしてもみつからないってときは購入っていう流れになります。通信販売とか。
菅野:
立読みで楽譜を探すという意味では、混声や女声に比べると男声合唱の楽譜ははるかに少ないです、楽譜店の合唱コーナーに見に行くと。どうしても欲しいものは取り寄せとかオンデマンド楽譜の注文になります、とか言われますね。男声合唱人口の少なさっていうのがあるんでしょうか。
小森:
僕らのころはほとんど男女別学だから、混声合唱はなかった。男声に関しては、大学は男声が支えてきたものが大きいと思いますね。作曲家への依嘱は男声のほうが多いんじゃないかな。おそらく、それまでは男声のレパートリーが少なかったってこともあると思うんですよ。たとえば新実徳英さんとか、高嶋みどりさん、木下牧子さん、そういった若い世代が台頭したときに、みんなこぞって委嘱して、その頃に一気に男声のレパートリーが花開いたっていう感じがしますね。そういう意味で、もともと混声は楽譜が多いと言われていますが、どうですか。
対談写真01
加藤:
比較的在庫が多いとはいえ、やはり、やりたい曲の楽譜が絶版になってしまったことが少なからずあります。地道にヤマハさんとかで、この店で2冊購入したとか、苦労してあちこちから人数分買い集めたっていう話を聞いたことがあります。
小森:
それは大変でしたね。カワイさんとかは、オンデマンドで楽譜をつくってくれる制度があります。オンデマンドって言葉は3人ともご存知のようですね。 ところで、合唱団の人数が少なくなってくると、部費の関係とか、財源も豊かとはいえないという状況があるのかなあと思うんです。そういう中で楽譜を購入してやっていくと、楽譜を買うための財源みたいなものはどうしていくのかなという心配もしてしまいます。
菅野:
会計担当者の方針が年度によって違ったりして、今年は収入が多いから部費から楽譜代を出せるよ、という場合もありますね。昨年は、4ステージ分、全曲部費から出ました。ただ、コピーでまかなってしまう年もありました。毎年の学生指揮者と会計の方針によって違うんです。4ステージのうち1ステージだけコピーとか。
小森:
「お座敷」っていうのかな、よそへ出て行って歌って、ギャラみたいな収入がある仕事っていうのも時々あるんですか。
菅野:
学校からきたりとか、中央大学は八王子にあるので、八王子市から演奏依頼がたまにきたりします。
小森:
そういうのがまったくなかったら財源的にも苦しい?部費は高いと思うことはありますか?
菅野:
やはりそうだと思います。部費は月2,000円です。大学のなかではちょっと高いほうみたいですね。
加藤:
うちは安いほうだと思います。月に850円。ただし、それとは別に楽譜代を集めています。印刷代で、だいたい6,000円くらいになります。850円の部費、楽譜代、それでさらにチケットノルマというものがあります。そして合宿代はまた別ですし。大体年間トータルで1人25万くらいかかりますね。合宿が年に6回あるんです。夏ですと新潟に行きまして、春ですと千葉の岩井海岸とか。秋ですと岩井か富士五湖のあたり。あとはオリエンテーション的な合宿や引き継ぎの合宿は埼玉とか東京近郊でやったりします。
小森:
まあ、混声は合宿が楽しそうですね。それにひきかえ男声ってお酒しか楽しみがないので(笑)。それはそれで楽しそうですが。しかし、聞けば楽譜代以上にかかる支出が結構あるってことですね。皆さんアルバイトで大変でしょう。
高橋:
邦人作品を2曲やるとして3,000円ほどかかかります。<<仏教讃歌>>でも、うちの大学所蔵以外の作品をやるときはかなりかかったりすることもあります。人によっては部費を滞納したり、やはりバイトとかやってお金を得ないと、そういうのを払っていけないという経済的に厳しい部分がありますね。うちも、部としてアルバイトといいますか、大学から卒業式とかに依頼を受けたり、地域の仏教会というところから依頼を受けて歌わせていただいています。この4月にも池袋のサンシャインシティで歌うんですけれど、そういうところでやって報酬をもらったりはしていますけれど。
小森:
楽譜代を含めて部費の問題というのは決して小さな問題ではないですね。楽譜に対してお金を払うということに抵抗感をもっているメンバーはいますか。コピーすればいいじゃないか、というのはありますか?
高橋:
コピーに対しては少なからず悪いことなのではないかという意識もありますが、経済的な面から、しょうがないじゃないかという感じも確かにありますよね。定期演奏会で使う楽譜はみんな買っています。ただし定期演奏会以外の普段の活動の中では、どうしてもコピー楽譜で済ませてしまうっていう現状がありますね。実際どうなの?って先輩たちに聞いても「ああ、うちだけじゃないしね」という感じで。本来ならちゃんとした楽譜で歌うべきなのにっていう気持ちはあるんですが。
5.楽譜は大学4年間の「足跡」
〜自分たちがやってきた音楽だから自分たちで楽譜からつくり上げたい、そういう意志がありまして。〜(加藤)
〜本気で取り組んでいるはずの音楽の楽譜をその辺にぽんと放っておくという神経が何か許せなくて。〜(菅野)
〜卒業したあとに自分たちがやった証っていうのが、コピーの紙っぺらで、バラバラになるようなものだったらどうだろう。〜(小森)
小森:
高橋さん、仏教でいう「お布施」って、無形のものに対するお金の価値観ですね。たとえば楽譜についてはどうですか。定期演奏会でやろうとすると、半年ぐらいかけて歌い込んでいくということだから、すごく思いがあって4年間蓄積されますよね。作家も、自分の蓄積を楽譜に込めているんだよね。さっき加藤さんが、“あえて”手書きで写譜をするとおっしゃいましたけれど、そのコピーではなくて手書きで写すということに何か特別なこだわりがあって、そういう形をとっているんですか?
加藤:
もともと黒人霊歌をずっとやっていたというのはあると思うんですけれど、自分たちがやってきた音楽だから自分たちで楽譜からつくり上げたい、そういう意志がありまして。実際手書きの楽譜を見て歌うのと、コピー譜を見て歌うのと、やっぱり感じるものが全然違うといいますか、そこに手書きのよさがあると僕は思うんです。
小森:
毎年度、手書きの楽譜集が積み重ねられていくわけですか。
加藤:
そうです。あ、今、現物持ってきていますけど。
対談写真02
小森:
これはすばらしい。年によって個性があるのかな。毎年の楽譜部長さんの仕事の成果というものですね。書き手の性格が譜面に表れますね。それに、1ページ目には学生指揮者からのメッセージが入るわけですね。これも手書き。熱いなあ。繊細な人もいるし。すごいなあ。これ、やっぱり係になる人は楽譜に強いんですか?
加藤:
そうですね。楽譜に強いというよりも、やっぱり音楽が大好きな人。学生指揮者もそうだと思うんですけれど、これだけやればこれだけすごい勉強になると思うんですけれどね。
小森:
楽譜部長はこれが仕事なわけですね。
加藤:
ライブラリアンとしては、ほかにも音源の貸し出しとかもやります。僕自身、音楽づくりが楽しくなったきっかけは、音楽の情報を発信したりして、要は部員が音楽に興味を持って、好きになる、そのための情報ですね。曲にまつわるあれこれとか。そういう発信もしています。
小森:
楽しそうだね。でも締切はつらいでしょうね(笑)。選曲が遅れると大変だ。
加藤:
訂正とかもやはり出てしまいますから。演奏してみたらなんか変なところもみつかったりします。あるパートだけ1小節どこかに抜かしちゃっているとか。歌ってみたら1小節合わないとか、あるんですよ。
小森:
手書きって、昔まだコピー機がなかった時代とか、どっちかっていうと「やむを得ず」みたいなことが多かったと思うんですが、手書きコピーということをすごくポジティブに位置付けているというのは、すごく新鮮な話だなと思ったんですよね。そういう楽譜に対する思いって、皆さん日常的にもってらっしゃるんでしょうか。
菅野:
僕の場合は、コピー譜であれ、製本された出版譜であれ、使い込めば愛着がわくと思っています。擦り切れてきたりとか。ですから出版されたものが特別なものかというと、実はそうでもないんです。使い込んで書き込んでいくうちに、というのはどちらにしろあるんです。それとコピー譜は、小中学校の授業のなかでいっぱい見ているから、別に不自然に思わないんじゃないでしょうか。僕もそのくちです。
加藤:
僕は楽譜には愛着ありまして、喩えになるんですが、楽譜には「手紙」のようなイメージを持っています。手紙って、読まないと伝わらないと思うんです。楽譜も広げて実際歌ってみることによってその世界観が広がる。コピー譜を使うことも多少あったりもするんですけど、コピー譜であれ、ちゃんと買った楽譜であれ、ひとつひとつ大切にしていくべきではないかと考えています。
高橋:
高校時代合唱をやっていて、僕も結構コピー楽譜を見てきました。先生がパソコンに打ち込んだものであれ、コピーしたものに違いはないじゃないですか。たくさんの音楽に接することは大切なんですけれど、コピーした楽譜に感覚が慣れてしまって、コピーでもいいじゃないか、という気になってきますよね。ある本に書いてあったんですが、楽譜っていうのは作曲者の意思表示であって、要は「本」と一緒だという。われわれ合唱をやっている人というのは、それを「時間芸術」「空間芸術」に組み立てていく、設計図をもとに組み立てていく存在なんだ、ということが書いてあった。楽譜って大事なんだなっていうことがわかる気がします。
小森:
サークルの中で、そういうものに対する教育とか、ポリシーみたいなものはありますか。楽譜はこう扱おうよという教えというか。
菅野:
団体としては特にありません。楽譜をそのまま放っぽり出しです。人の足元に。僕は個人的に、それに対してはとても腹が立ちます。楽譜は命の次に大事なものだと思う。部室って、授業をサボる場でもあるんですけれど、部室で練習するのはいい姿勢なんですね。ところが、その辺に放っておくんですよ。それってひどいですよ。自分が本気で取り組んでいるはずの音楽の楽譜をその辺にぽんと放っておくという神経が何か許せなくて。平気で踏んでますし。個人個人には注意しますが、意識はなかなか変わらないですね。
高橋:
うちの大学ですと逆に、床に置いたら絶対にいけないって言われています。それがどうして始まったかというと、うちの学校の顧問として田中昭徳先生に来て頂いていたんです。で、先生がいらしたときに、その先生の楽譜が床に置いてあったら失礼ではないか、ということからなんです。
加藤:
真夏の暑い日だったんですが、楽譜で扇いでいる奴がいまして、それをOBが怒ったんですね。楽譜はそういうためのもんじゃないだろうって。それと僕がつくった楽譜のことなんですが、表紙を真っ白な色にしたんです。今ではすごく黄ばんでいるんですね。使い込んだ結果です。僕が1年間やってきた成果というのが、白い色なら最も目に見えて表れるだろうなと思って、それで表紙の色として白を選んだんです。1年間の苦労や成果が見えるものにしたかった。
小森:
いろいろと読み込んで書き込みをして愛着が湧いて、自分でつくり込んでいく楽譜ということ。うれしいな、そういう話が聞けて。あまたある他の団体もそういう意識を持ってくれるとありがたいですね。思ったのは、卒業した後に自分たちがやった証っていうのが、コピーの紙っぺらでバラバラになるようなものだったらどうだろう、という事なんですよ。楽譜っていうのはちゃんと本棚に残るんですね。そういう、今、加藤さんが言ったような自分の「足跡」がちゃんと見えるというかな、そういう部分で、やはりコピーと本物では決定的な差がつくなと思ったことがありましたね。さっき、音楽は「時間芸術」「空間芸術」に組み立てていくものっていうお話をされていたけれど、同時に音楽っていうのは「再現芸術」ですよね。本物のベートーヴェンが来てピアノを弾いてくれるわけではない。そういう見方でいうと、楽譜はそれ自体が「本物」なんですよ。楽譜は作曲家がつくった本物であるという意識を持ってほしいですね。
6.著作権についての知識を共有したい
〜やはりこういうことは一度実務に関わってみないと、なかなかわからないことですね。〜(菅野)
〜気にはなっているけれど、突っ込んだ情報を持っていない。それはこれからの課題ですね。〜(小森)
対談写真
小森:
話は変わりますが、さきほどからもあった音楽の著作権について、ひょっとして苦労されているのかも、と思うことがあります。各団で、音楽の著作権についてはどんな捉え方をしていますか。楽譜部長はそういうところに通じてなければいけないとか、指揮者は勉強しなければとか。たとえば、黒人霊歌の著作権の処理などはしていますか?黒人霊歌の場合、作曲者の著作権は切れているものが多いでしょうが、問題は合唱への編曲だと思うんですよ。
加藤:
著作権の処理はひととおりやってはいるんですが、実際のところ、どうなのかなというのが不思議ではあったんです。アメリカ人の編曲だったら使用料はかからないですか?
小森:
いや、それだとJASRACの管理外のものが多く、権利処理を編曲者と直接やらなければならないケースも多いですよ。編曲者が権利を主張する場合もありますね。そういった編曲の著作権の問題は、たぶんみなさんわかりづらいところがあるのではないでしょうか。
加藤:
実は楽譜の印刷のことも含めて、前から気になってはいたんです。
小森:
有料のコンサートだと使用料がいる、というのはかなり浸透してきているのではないでしょうか。それに、パンフレットに歌詞をのせるとやはり使用料が発生するというのもだんだんわかってきている。ただ、歌詞の印刷というのは、入場料の有料無料に関係なく申請が必要なんですね。しかも、歌詞掲載に関しては、手書きであってもコピーと一緒です。昔は、手書きは問題なかったんですが、現在の著作権法では、手書きも複製になってしまうんですね。家庭内の私的な複製はいいですよということがありますが、サークルで使う場合はその範疇には含まれません。こういうことを皆さんが学ぶ機会はないんでしょうね。
高橋:
うちの団では、申請に関わった人たちはいろいろ知っているんですよ、著作権のことを。この前パンフレットに載せる歌詞を申請したら、ものすごい金額をとられたんだよねっていうような話をしていて。逆にそれに関わっていない人間は、お金を払わなければ、という知識も意識も低いと思います。
小森:
あるコンテストで、審査員長をやられた古橋富士雄先生がお話をされたんです。高田三郎さんの《水のいのち》をア・カペラでやった学校があったんですよ。で、古橋先生が講評で、《水のいのち》をア・カペラでやるっていうのは、実は注意が必要なんだということを皆さんに知ってほしいと。「編曲」とか「改変」は作者に無断でしてはいけない、ということを意外と知らないんですよね。極端にいえば、ハ長調で書かれた曲を変ロ長調でやるのも実は許可がいることです。作曲家の人格権というものがあって、作品を勝手に変えちゃいけないということも、著作権に関わる、知っておくべきことかなと。
菅野:
僕もパンフレットでいろいろと知ったのは最近で、やはりこういうことは一度実務に関わってみないと、なかなかわからないことですね。
小森:
たとえば、白山グリーのこの手づくりの楽譜を、誰かが無断でつくり変えたり、どこかで売られていたら、それはいい気持ちがしませんよね。どこかで使われていたりしたら、光栄だと思う反面ね、一声かけてくれればいいのにって思うでしょう。そういう、感覚的なところからまず理解して、作詞、作曲家に共感ができたらいいのかもしれません。そのうえで、著作権処理の実務も勉強していけばいい。気にはなっているけれど、突っ込んだ情報を持っていない。それはこれからの課題ですね。あと、難しいのは大学の合唱団の場合、それをちゃんと分かっている人がいても、2,3年すれば卒業してしまう。団の中で恒常的にルール化していくことも必要でしょう。役職の引き継ぎノートとかあるでしょうからね。

今日のお話を伺って、失礼ですが意外と皆さん、ちゃんとやっているな、ちゃんと考えておられるんだなと思いました。よく聞くのは「だってみんなコピーしてるじゃない」っていう話なんですが、どの合唱団もコピーで当然と思っているわけでは決してない、ということがわかって、今日はとてもいい機会だったと思います。ちゃんと考えている合唱団のことも知らしめなくては、と思いました。どうもありがとうございました。
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(了)
2009年2月17日 採録