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第9回 特別篇 東海大学付属本田記念幼稚園を訪ねて

第9回 特別篇 東海大学付属本田記念幼稚園を訪ねて

クラブ活動や音楽サークルなどで、今、楽譜がどのように利用されているか、また楽譜の無断コピーを防止するにはどのようにしたら良いかなどを、楽団・合唱団を指導する先生方や関 係者の方々、楽譜出版・販売事業に携わるスタッフに尋ねるコーナー。第9回は、特別篇として、知財教育に取り組む東海大学付属本田幼稚園の高橋功園長先生、石橋宏之先生にお話を伺いました。

プロフィール
対談コンテンツ

はじめに

東海大学では、2001年、ちょうど当時の小泉内閣が「知財立国」を唱えた頃に、知的財産に関する教育・研究プロジェクトを始めました。その一環として、同大学付属の本田記念幼稚園でも、2004年から本格的に知財教育への取り組みを始めたそうです。でも、幼稚園で「知的財産」って?どうやって、何を教えるのでしょうか?さっそく、園長の高橋功先生とご一緒して、教室へおじゃましてみました。

教室に絵本を持って現れた高橋先生が、みんなのお気に入り『だるまさん』(かがくいひろし作)を読み聴かせ。つばめ組の子どもたちへのサプライズです。だるまさんがいろいろなことをするたびに、子どもたちもだるまさんと一緒に跳んだり跳ねたりころがったりの大はしゃぎ。「だるまさんが・・・」一瞬、先生を見つめる眼が真剣。そしてバクハツするような笑顔がはじけたりもします。

高橋園長、石橋先生のお話

読み聴かせのとき、最初にタイトルと作者名を読みあげるんですね。

そうして読み聴かせをすると、「この人の本は、どこかで見たことがある」「もっとこの人の本を読みたい」、といった声がよく上がるようになるんです。「誰がつくったんだろう」という意識はとにかく強く持つようで、ある作品が気に入ると、図書館に親御さんと行って、その作者名で検索して他の本を探す、ということがすっかり定着しています。親子で図書館に行くという生活習慣が身に付いているんですよ。図書館に行列ができてしまって。だから図書館からは、ずいぶん迷惑な幼稚園だなと思われているかもしれない。(笑)

最近では、どんな絵本が人気なんですか?

その時々によって、子どもたちの間でブームとなるような絵本がありますが、最近では、『だめよ、デイビッド』(David Shannon 作、小川仁央訳)や、さっきの『だるまさん』がとても人気があります。読み手としても心が入るように、作者の世界観と共感できるものを教員が選んでいます。地域で開かれる絵本の研究会に、講師として参加することもあり、そういう場で作者の熱意をみんなで感じて、お互いに伝え合っているんです。

教室に子どもたちの絵がたくさん飾ってありましたね。

子どもたちが本を手づくりするんですよ。たとえば、「おもしろいもの」というテーマで、デジカメを持たせ、何でもいいから身の回りで興味をもったものを写し、それにキャプションを書き込む。そんなことをやっています。グループ制作をすることもありますが、一人で作品をつくる場合、必ず「○○○作」というクレジットを入れています。日常的に「これは誰の作品か」という意識が身に付いていると思います。

「誰がつくったんだろう?」っていう興味は、親ではない、第三者へ向けられた意識です。園では「手紙を書く」ということをやっていますが、3歳児の場合ほとんどといっていいほどお母さん宛てなんです。ところが、年中、年長になるにつれて、他者へ向けた手紙が増えてきます。世界がそれだけ広がっていくんですね。まさにそういう時期に、作者との触れ合いがあるわけです。

有名な作家の方だけではないんですよね、「作者」というのは。もっと身近なアーティストはたくさんいるわけです。そして自分も、友だちもアーティストなんだ、と。

絵本の読み聴かせで接する作者を身近に感じて「あの人の本だ!」と、無意識に作風を感じ取っているんですね。谷川俊太郎さんなど、日本語の面白さを引き出す素晴しさがあります。そういうところは子どもたちにもちゃんと伝わっていますよ。

クリスマスには、『クリスマスの物語』(Felix Hoffman/文・絵 生野幸吉/訳)の朗読劇を開くのが毎年の恒例で、700人ものご家族が見に来てくださいます。毎年、作者の息子さんのディーター・ホフマンさんに許諾をいただいています。ご本人は「許諾は不要です」と言ってくださるんですが、それでも毎年ドイツ語で手紙を出すと、「よいクリスマスを!」とお返事をいただく、そんな交流が毎年続いているんですよ。

しかし、おおぜいを前にして絵本、となると見せる工夫も必要ですね。

絵本をコピーしてOHPで大きくスクリーンに映写することがあります。その場合には必ず出版社に連絡をしています。出版社によってはコピーの許諾が得られない場合もありますが、記録に残らない形なら許諾を得られる場合もあります。その場合には、「OHC」(オーバーヘッド・カメラ)といって、ページをカメラで写し、リアルタイムで投影する機材を用いています。

これに関しては、エピソードがあるんです。『ティラノザウルス』(宮西達也作)という作品を取り上げたとき、OHPの作成にあたって、出版社を通して作者と手紙をやりとりするようになりました。そうしたら、宮西さんからこんなお手紙をいただいたんです。

「ぼくのなかでのラストシーンのあとは、どれもすべてハッピーエンドです」

絵本では、恐竜は死にそうになって終わるんですが、実は子どもたちも「本当は恐竜は生き返るんだ!」と信じている子どもが多いんです。そこで、この絵本の続きの話をみんなでつくろう!ということになったんですよ。何ページにもなる、新しい絵本ができあがりました。こんな物語になるんだ!私たちも、そして作者の宮西さんもびっくり。宮西さんからは「子どもたちの創造力に完敗!」とあらためてお手紙をいただいたんですよ。

コピーの許諾を、という話から、こんな素敵な交流に発展するんですね。