#3 編曲の許諾ってなに!?
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団長は、作曲をしますか?
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えへん。何曲か書いて、わが団で演奏しているよ。
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もし、団長が書いた曲を、団長以外の誰かが勝手にアレンジしたら、どう感じますか?
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え・・・、それは許せないかも。
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ですよね。だから、著作権法では、著作物に、著作者の意に反して変更したりカットしたりするなどの改変を加えてはいけないこととしているのです。
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それなら、著作者の意に反しない編曲ならいいということ?
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著作者の意に反するかどうかは、著作者本人にしかわかりませんよね。「このくらいならいいだろう。」と思って編曲したものでも、作曲家にしてみれば良く思わないかもしれません。実際、楽器の編成を変えることや、移調することも許していない作曲家がいます。
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なんか厳しいような・・・
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団長にとって、自分が作曲した曲はどんな存在ですか?
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そりゃもう・・・自分の子供くらい大切です。
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大切な自分の著作物だからこそ、他人によって勝手に改変されないことは、著作者にとって、当然の権利です。もし編曲などをする場合は、必ず著作者に「編曲しても良いか?」と確認し、許諾を得なければなりません。替え歌や外国語への翻訳なども同様です。
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なるほど。子供を大切にするのと同じように、楽曲や、それを生み出した作曲家、作詞家の権利を大切にしなければいけないのですね。
◆編曲したり、訳詞を付けたりするときは・・・?◆
著作者の許諾を得ずに編曲等を行うことはできません。楽譜コピーについて許諾を得るより前に、まずはじめに、編曲等に関して許諾を得てください。
もし、「どこまでが編曲にあたるのか?」「編曲したものを演奏しても良いのか?」などの疑問が生じた場合は、ご自身で判断せず、必ず著作者や音楽出版社にお問い合わせください。
また、市販されている楽譜は、発行元がすでに適正な許諾を得て編曲を行い、その編曲に関して著作権を保有している場合があります。市販されている楽譜を基に編曲する際には、楽譜出版社にお問い合わせください。
◆編曲や訳詞などに関する手続きの方法は・・・?◆
【手続きの手順】
① 楽曲の権利情報を、著作権管理団体のデータベースなどを使って調べる。
(例)JASRAC作品データベース「J-WID」:http://www2.jasrac.or.jp/eJwid/
② 権利者に音楽出版社(※1)が含まれる場合は、出版社に連絡し、編曲等の許諾を得る。
音楽出版社が含まれない場合は、著作者本人または著作権の承継者に連絡し、許諾を得る(※2)。
※1 J-WIDでは、著作者/出版者情報欄に「出版社」と記されています。また、外国の作品の場合は、著作権を有する外国の音楽出版者が「出版社」と、外国の音楽出版者から日本地域における許諾の取り扱いを任された日本の音楽出版者が「サブ出版社」と表示されています。
※2 権利者の連絡先が分からない場合は、著作権管理事業者等にご相談ください。
③ 市販楽譜を基に編曲等を行う場合は、楽譜の出版元に編曲等の可否を問い合わせる。
④ 編曲等に関する許諾が得られた後、著作権管理事業者に対し、楽譜コピーについて利用申込みを行い、許諾を受ける。
※申込みの方法については、著作権管理事業者等のサイトをご参照ください。
(例)JASRAC:https://www.jasrac.or.jp/info/create/publish.html
⑤ 許諾番号をコピー楽譜に印字する。
◆参考◆ 著作権法第20条(同一性保持権)
著作者にとって、自らの作品は、かけがえのない大切なもの。
作品への愛情と同様に、著作者の心と権利への
配慮をお願いします。