[ブログ] 楽譜de散歩
2021.06.01 音楽について

音を音楽と認識できる人間の素晴らしさ!  松尾 祐孝(CARS幹事/作曲家)

【執筆者】松尾 祐孝(CARS幹事/作曲家)

皆様、お久しぶりです。作曲家・指揮者・音楽プランナーの松尾祐孝です。このブログには3回目の投稿となります。本稿では、皆さんと一緒に音楽について想いを巡らせていこうと考えました。

いきなりの質問になりますが・・・『音楽を認識できる要因となる三つの要素をあげてみましょう。』と問われたら、皆さんはどのような答えを思い浮かべるでしょうか。
多くの方は、“メロディー(旋律)・リズム/テンポ(拍子)・ハーモニー(和音)”という三つのキーワードを思いつくかもしれませんね。
しかし、よくよく考えてみると、メロディーの無い音楽も世界中にたくさんあります。
和太鼓のパフォーマンスや打楽器アンサンブルなどにはメロディーがありません。リズムが明確でない音楽や拍子がない音楽も探すことができます。日本の音楽の中では、追分節のようなゆっくり歌い上げられる民謡や《越天楽》に代表されるタイプの雅楽などからは、明確なリズムや拍子を感じることは難しいですね。また、ハーモニーの無い音楽も、邦楽や世界各地の民族音楽から数多く探すことが出来ます。
現代社会に生きる私たちが平素の生活の中で耳にする音楽の多く、クラシック音楽、ジャズ、ロック、Jポップ、歌謡曲、アニソン、ゲーム音楽、映画放送音楽などの大半は、西洋音楽の理論体系を応用して創作された楽曲です。近世の西洋音楽の三つの基本的な構成要素が“メロディー(旋律)・リズム/テンポ(拍子)・ハーモニー(和音)”ですから、その三つのキーワードを思いつくことは、自然な流れではあるでしょう。しかし、その三つでは説明できないとなると・・・。

では、私=松尾なりの答えを披露しましょう。それは、“音・時間・音を音楽と認識できる人間の心”となります。メロディー(旋律)があろうとなかろうと、リズム/テンポ(拍子)があろうとなかろうと、ハーモニー(和音)があろうとなかろうと、音と時間が織り成す時空を音楽と感じられれば、それが音楽だということになります。実は、ある音の流れを音楽と認識できるという能力は、言語を編み出して駆使している能力に匹敵するほど、人間だからこそ有している素晴らしい能力だと私は考えています。音と時間が織り成す時の流れを音楽と認識できる人間の能力があることに、あらためて感謝せずにはいられません。

そして更に想いを馳せていくと・・・
音楽という素晴らしいものが存在することへの感謝と共に、その音楽を創り、また私たちに届けてくださった方々、作曲家、編曲者、作詞家、訳詞者、演奏者、歌手、パフォーマー、録音エンジニア、音響エンジニア、映像クリエイター、出版社 etc… といった方々にも想いを寄せてリスペクトする心を持っていたいと考えます。
インターネットと端末機器やアプリケーションの劇的な発達によって、音楽をはじめとするあらゆる芸術やエンターテイメントのコンテンツを、ワンクリックでとても手軽に楽しんだり複製したり拡散・発信できたりする時代になっています。しかし、そのワンクリックが、時に上述のリスペクトすべき方々の権利を侵害することにもなりかねないとうことも、是非とも頭にいれておきたい重要な事柄だと考えます。

音楽を楽しむ能力を有する人間であることの歓びと、音楽に関わっておられる方々へのリスペクトの気持ちを忘れずに、皆さんと共にこれからも音楽の素晴らしさを楽しんでいきたいと願っている私です。