新年に寄せて徒然に想うこと 松尾 祐孝(CARS幹事/作曲家)
明けましておめでとうございます。作曲家・指揮者・音楽プランナーの松尾祐孝です。2022年、令和4年が幕を開けました。今年もこのCARSブログや音楽著作権に関心をお寄せいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
二年前、2020年正月の頃、私は、2020年3月後半に開催を予定していた“木の文化”をテーマとした国際フェスティバル《World Wood Day 2020 Tokyo》の準備に、実行委員長として奔走していました。ところが、丁度その時期から新型コロナウィルス感染発生がニュースで報じられるようになり、やがてその感染拡大の情報が次々と世界を駆け巡るようになってきました。そして、主催国際本部(IWCS / 国際木文化学会)との協議を経て、2月初めには断腸の思いで開催中止の決定を下すこととなりました。
“木の文化”には様々な分野が含まれますが、森林保全・木材・建築・家具・彫刻・伝統工芸などに伍して、木や竹を材料とする世界の多種多様な楽器も重要なものに位置づけられています。また、草木を原料として製造される紙は、音楽を書き留める楽譜と密接な関係にあると言えます。ですから、2020年3月に予定通りその国際フェスティバルを開催することができていたならば、日本が世界に誇る邦楽器を初め、世界の様々な民族楽器・伝統音楽などのミュージシャンやパフォーマーが東京に集結した演奏会やイベントを含めた、多種多彩な催しを展開することができていた筈でした。しかしそれは叶いませんでした。
その後、皆様もよくご存知の通り、オリンピック&パラリンピック2020東京大会の開催延期も決定され、2021年に入ってもパンデミックの収束の道筋が見出せない中で延期開催も危ぶまれましたが、何とか一年遅れの開催が原則的に無観客による競技実施という形で挙行されました。このオリパラ2020の開催については賛否両論が飛び交いましたが、無観客ではあってもテレビ放送に加えてインターネットによって世界中がリアルタイムで繋がる一体感が醸し出され、結果としては開催できたことを喜ばしく思う人々が多くなったのではないでしょうか。感染症対策を常に意識しながらの生活に閉塞感を感じていた世界中のひとびとに、大きな勇気や励ましや感動をもたらしてくれたことに、大きな意味と価値があったと私は感じています。また、開会式・閉会式・競技会場において、音楽が重要な役割を果たして関わっていたことも記憶に刻んでおきたいと思っています。
その後、前述の“木の文化”をテーマとした国際フェスティバルは、各国持ち回りの開催を一旦停止して、2021年から当面の間オンライン開催とすることになりました。その一部に日本も継続的に関わりながら現在に至っています。そして感染症拡大が収束した暁には、あらためて日本での開催を計画したいと、国際本部(IWCS)と日本支部(JWCS / 一般社団法人日本木文化学会)で検討を始めているところです。
既に約二年間にも及んでいる新型コロナウィルス禍の中で、音楽を含む様々なコンサートやイベントのインターネット配信は飛躍的に増加しているように思われます。実際に会場に集うことに勝るものはないかもしれませんが、何も出来ないよりは遥かにマシな環境になっていると言うことはできるでしょう。
また、学校等の教育の現場でも、インターネットが発展していた現在だからこそオンライン授業の活用が可能となった訳で、万全とは言えないまでも教育機会の維持を何とか継続できている訳です。
このように徒然に想いを巡らせてくると、インターネットが普及していることの“ありがたさ”を考えるようになります。この新型コロナウィルス禍がインターネットの無い時代に襲ってきていたら…と想像すると、ぞっとしてしまいます。勿論、インターネットには様々な面があり、運用・利用の仕方によっては功罪両面にわたって様々な要素が指摘されもします。しかし、インターネットが将来に向けてますます普及していくという潮流は、もう誰にも止められないでしょう。音楽作品発表・音楽演奏・配信・楽譜出版、等に関連する著作権や著作隣接権の制定や運用についても、否応なしにインターネット時代に即時性をもって対応していくことが求められていくことは間違いありません。皆様と共に、CARSもそういった時代の潮流に取り残されないように前進していきたいと考えながら、年を越した次第です。
2022年、令和4年が、皆様にとりましても、音楽の世界にとりましても、良き発展の一年になりますよう、祈念いたします。
