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対談「楽譜のコピーについてこう考える」
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<プロフィール>
大学合唱団のメンバーの方々
副学生指揮者・菅野章平くん
中央大学音楽研究会グリークラブ
副学生指揮者・菅野章平さん
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前楽譜部長・加藤雄一朗くん
東洋大学白山グリークラブ
前楽譜部長・加藤雄一朗さん
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副学生指揮者・高橋雄太くん
大正大学混声合唱団
副学生指揮者・高橋雄太さん
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対談 第7回 「楽譜のコピーについてこう考える」
 クラブ活動や音楽サークルなどで、今、楽譜がどのように利用されているか、また楽譜の無断コピーを防止するにはどのようにしたらよいかなどを、楽団・合唱団を指導する先生方や関係者の方々、楽譜出版・販売事業に携わるスタッフに尋ねるコーナー。今回は、大学の合唱団のメンバーの方3人に集まっていただき、小森昭宏代表幹事との座談会という形でお話を伺いました。
 
合唱団にもそれぞれ個性がある 楽譜探しの苦労と、経済的問題
「8割が初心者」のなかで 楽譜は大学4年間の「足跡」
中高生はなぜ合唱を続けないか? 著作権についての知識を共有したい
   
小森:
まず皮切りに、合唱との関係を中心に自己紹介いたします。僕の小学校は、東京・新宿区の戸山小学校で、音楽の先生が《たき火》を作曲した渡辺茂先生。合唱部に入れていただきました。渡辺先生はオーケストレーションもできたので、NHKに連れて行っていただいて、軍歌をよく歌っていましたね。それがプロの音楽家と接したきっかけでした。で、同じ東京の旧制九段中学に進学、そこは音楽の先生がいらっしゃらなかったんですが、九段中は校歌がすごいんですよ。与謝野鉄幹が作詞で山田耕筰が作曲。変拍子でごちゃごちゃに(笑)。終戦後は中学生のお小遣いで買えるような男声合唱曲集が結構出ていましたね。で、そのころ関東合唱連盟というのが主催したコンクールに出場したことがあります。あの頃はいつも中央大学の講堂でしたね。今はもう八王子に移転してしまったと思いますが。

では、中大の話が出たところで、菅野さんから、各団の紹介、それに大学で合唱をおやりになるようになったきっかけなどからお聞きしたいと思います。
1.合唱団にもそれぞれ個性がある
対談写真
菅野:
中央大学のグリークラブで来年度、学生指揮者を担当する菅野といいます。同じ高校出身の2つ上の先輩から「合唱やってるから来なよ」っていわれて、つい入ってしまったんですね(笑)。それが大学で合唱を始めたきっかけです。演奏曲目は年ごとにさまざまですが、毎年ミュージカルの曲を、振付付きで演奏しているのが、選曲上の特色だと思っています。
加藤:
東洋大学白山グリークラブの加藤と申します。四年生でして、もう卒団しましたが在団中は「楽譜部長」という、いわゆるライブラリアンの仕事をやっていまして、楽譜に関しての担当でした。高校時代は吹奏楽部をやっていたんですが、大学に入ってからも音楽を続けようかなと思って、実はア・カペラのコーラスをやってみたかったんです。ところが、うちの大学ではア・カペラはちゃんとしたサークルがなかった。それで、どこか他にいいところはないかと思っていたら、怖そうな先輩に「ちょっと」と連れて行かれたのが今の白山グリークラブです。「茶話会」っていうものがありまして、まあ新入生勧誘のイベントなんですけれど、僕の前の子たちが「入る入る入る入る!」って言って、じゃあ僕も!と(笑)。入った経緯はこんなですが、でも入ってよかったと思います。
小森:
どんな曲を?
加藤:
創立48年になりますが、そもそもできたきっかけは、ニグロ・スピリチュアル(黒人霊歌)をやりたいということだったそうです。いま、定期演奏会はだいたい4ステージありまして、1ステージが黒人霊歌、1ステージがミサ曲とかレクイエム、いわゆる「宗教曲」です。そして残り2ステージが現代の日本人作曲家。そんな構成でやっています。黒人霊歌の楽譜は、一曲一曲バラ売り。ピース形態が多いですね。一回の定期演奏会で6,7曲ぐらいやるんです。昔はガリ版印刷をしまして、それをホチキスどめしていたんですけれど、今は、私たちはあえて写譜をしているんです。今年度は7曲でしたが、手書きで写譜しまして、印刷所に持って行って一冊の曲集として印刷製本してもらってます。
高橋:
大正大学音楽部混声合唱団の副学生指揮者、高橋と申します。まだまだ駆け出しで、この場を借りて勉強していけたらと思っています。東北の岩手出身です。自分も高校時代から合唱部に所属していたんですが、東京の大学で合唱を続けていた先輩がいまして、東京は合唱の世界がすごく広いぞ、と言われて、憧れを持っていたんです。で、もちろん自分の勉強のこともありますが、合唱をするために東京に出てきたという思いが、まあ若干ですがあるんです。
小森:
それは素晴しいですね!
高橋:
で、東京に出たら合唱団をいろいろ選んで、と思っていたんですが、入った大学に合唱団が一つしかなくて。なんだ選べないじゃん(笑)、ということでその一つしかない合唱団に入りました。学生指揮者という立場で頑張っていこうと思っています。
小森:
大正大学というのは、仏教大学ですね。
高橋:
はい。《仏教讃歌》という、他ではなかなかない、おそらく関東圏でやっているのはうちだけだと思うんですが、そういうものを歌います。この《仏教讃歌》、なかにはうちの大学にしか原本が存在していない楽譜というのもあるんですね。そういう楽譜が部室の中にたくさんあるんですよ。もちろん邦人の一般作品もたくさん歌いますけれども。
小森:
《仏教讃歌》っていうのは、どなたの作曲なんですか。
高橋:
いろいろです。古い方だと清水脩さんとか伊藤完夫先生とか、御存命の方ですと田中昭徳先生の曲などがあります。
2.「8割が初心者」のなかで
〜やはり数には悩みます。でも、もの好きが集まってくるので、団体としては個性があるんですよ。〜(菅野)
〜未経験者も、経験者に触発されて歌っていくという感じなんですかね。〜(高橋)
対談写真
小森:
菅野さん、高橋さんのお二人は学生指揮者、あるいはこれから正指揮者になる、という人たちですね。学生指揮者の仕事は私も知っているつもりですが、指揮法の先生というのはいるんですか。だれかにつくんですか。独学ですか。
菅野:
うちは独学のことが多いですけれど、常任指揮者の古橋富士雄先生が、講習会やるから来ないかなんて声をかけてくださるので、機会があれば行きたいと思っています。
小森:
学生さんのコーラスをみていると、いかにも自己流っていう人もよく見かけますね。
高橋:
うちの場合、常任指揮の先生から指揮法を学ぶんですが、自分の場合、たまたま東京にいる先輩が指揮者と仲がよくて、講習会に誘われたりします。自分のほうからいろんな指揮者をみて勉強したいとは思っているんですけれど。
小森:
僕はTBSの子ども音楽コンクールの審査員をもう30年やっているんですが、30年前と比べると、コーラスのレベルが格段にあがりましたよね。やっぱりテレビやラジオで、それからCDだのビデオだので、レベルの高いものに接する機会が増えたからということでしょうか。やる曲もバラエティに富んでいますね。ところが、これがなぜか大学につながっていないという現状があって、皆さん苦労されていると思うんです。大学の合唱界は団員の数が減っていると聞きます。そのへんはどうなんでしょうか。
菅野:
男声合唱をやりたい人が少ないというのは確かにありますね。大学に入ってまで、なんで「野郎」と一緒にいなくちゃならないんだろう(笑)、っていうのがあるみたいです。やはり数には悩みます。でも、もの好きが集まってくるので、団体としては個性があるんですよ。
小森:
大学入学以前から合唱の経験のある人は、どれくらい入ってきますか?
菅野:
経験者は20人中2、3人ですね。最も多い時でも2割程度でしょうか。
小森:
譜面が読めない人もいますか。
菅野:
そうですね、四分音符と八分音符の違いがわからない人もいます。小学校でやるタンタタをもう一度。教科書貸してあげるからって(笑)。
小森:
混声合唱のほうはどうでしょう?
加藤:
僕の団体は70〜80人、おそらく大学の合唱団の中では、かなり大きい部類だと思います。ただし、純粋に合唱をやりたくて入ってくる人間は年に1,2人くらいしかいなくて(笑)。大体30〜40人ぐらい毎年毎年入ってくるんですけれど、勧誘で連れてくるときに、ここが合唱サークルだとはあまり言っていないような気がします(笑)。
小森:
ある種の偽装みたいなものですね(笑)。
加藤:
で、勧誘会に来てみてようやく合唱団なんだなって。そこで入る、入らないはもちろん任せますが、結果的に合唱に興味があって入るっていう人はそんなにいないですね。でも、入ってみて合唱に興味を持ちだしたっていう人間は確かにいます。そうやって、30人入ってきて、例年残るのが20人ぐらいになります。
高橋:
大正大学は全体で30人ぐらいですが、やはり経験者は指折り数えるくらいしかいないですね。しかも、中学・高校の経験者といっても、それぞれ経験の層が違っていて、一生懸命やってきた人もいれば、一緒に楽しく歌っていた程度という人もいます。で、入ってきて、合唱を頑張るというよりは、みんなで楽しく歌おうよといったなかで合唱好きになっていくケースが多いです。未経験者も、経験者に触発されて歌っていくという感じなんですかね。楽譜が読めない、よく音がわからない、そういう人も多いです。でも、耳で聴いて、だんだん音が合っていってうまくなっていくんです。
3.中高生はなぜ合唱を続けないか?
〜大学の合唱って、高校までと違って、結果やゴール地点が見えにくい感じがするんです。〜(高橋)
〜鳥肌が立つような音楽体験をしてほしい。そして楽譜にもそれが込められているんだから。〜(小森)
対談写真
小森:
大学では、経験者が少ないっていうのは昔からと聞きます。中学・高校で一生懸命やってきた人たちが大学であまり合唱団に入らないんですね。いわゆる「燃え尽き症候群」ということが、合唱連盟などでも問題になっていました。もちろんそうではない人もたくさんいるでしょうけれど、その構造は今でも変わってないのでしょうか。
菅野:
中学・高校でコンクールに向けて厳しい訓練を受けてるからだと思うんですよね。僕もそのくちなんですけれど、二度とこんなことやるか、と思っていました。しばらくするとまたやりたくなるんですが、僕の場合は(笑)。高校時代のコーラス仲間12人のうち、合唱を続けているのは僕だけなんです。高校であまりにガッチリとやってしまうと、大学では何か別のことをしたいなって考える人が多いのも無理はないかなと思います。
高橋:
大学の合唱って、高校までと違って、結果やゴール地点が見えづらい、そんな感じがするんです。高校時代って、きっちりとやってコンクールに出て、すっぱりと引退しちゃうんですよね、悪くすると。コンクール目指して頑張っていこうという目標が明確なんです。もちろん大学だと、定期演奏会とか目標がありますが、高校時代のコンクール体験を経た人たちの中には、そういう大学の「ぬるい」合唱に抵抗があるのかなって自分は思うんです。
小森:
僕はね、最初は医者をやりながら作曲家に変わったんですけれど、医者の先輩から言われるんです。うらやましいねえって。音楽をつくれば何百人、何千人の人に喜んでもらえるでしょう。医者はね、喜んでもらえるのは一人だけなんだよ、って。もちろん医者も病気を治して元気になってもらいたいんだよね。コーラスもまったく同じなのね。人に聴いてもらって、喜んで元気になってもらいたい。音楽にはそれができる力がある。これは大事なところだと思うんです。聞いていると、高校までのコンクールを目指すようなストイックな合唱団のあり方があって、今は皆さん、それとはちょっと違う。そっちにもやりがいを感じてらっしゃると思うんですけれど、ここでないと得られないものというのは何でしょう?
菅野:
僕の大学ではここ6年ぐらい、定期演奏会の最終ステージでは、ミュージカル作品を踊りながら歌います。古橋先生のつてで、ラッキィ池田さんに振り付けをご指導いただいて。やはり大変ですよ。原語で覚えて歌わなきゃいけないうえに、リズム感のセンスも問われます。普段暗譜もできない奴が、さらに踊りまで覚えなくちゃいけない(笑)。ただ、そのステージではお客さんの顔が全然違うんですよね。3ステージまでは「かったるいなあ」って感じで、本当に寝ているお客さんもいるんですけれど(笑)、あのステージだけは笑顔が素晴しいんです。それ舞台から見ると、歌って踊ってよかったって思います。笑ってもらいたいところで笑ってもらえるとか、そういうところがやめられないところなんです。
加藤:
僕も少し菅野さんに似ているんですが、黒人霊歌のステージをやっていると、そのステージだけやっぱりお客さんの表情が違うんですよね。本当によかったときは、曲の間で拍手が鳴ったりするんですよ。自分たちが1年間練習してきた思いが結果的に2時間の演奏に込められている。その思いをぶつけたときに、お客さんの反応がちゃんと返ってくる。そこがいいところだと思います。
高橋:
うちの場合やはり《仏教讃歌》なんですね。それを歌って、たくさんの人に聴いて知ってもらおうという意志のもとにつくられた団です。新入生としては「なんだこれ?」と思いながら歌わされていくんですよ。僕も、この曲のいったいどこがいいんだ、と思ったりもしました。それが、歌い込んでいくとどんどん味が出てくるんですね。自分たちしか歌えない、他の団体には楽譜すら存在しないんだから、自分たちのものなんだって先輩たちから言われて、ああそうか、すごい団体なんだってことを実感しながら歌い込んでいく。すると、歌詞や音楽の深さがわかってくるんですね。高田三郎先生が日本語でキリスト教の典礼聖歌を書いていますが、それと同じくらいすごい力をもった「日本人が書いた日本語の宗教曲」です。
小森:
みなさん、それぞれに貴重な音楽体験をしているんですね。作・編曲家のクインシー・ジョーンズっているでしょう。彼が、どういう曲がグランプリをとるんですかって訊かれて、「簡単だよ、鳥肌が一番立ったやつさ」と言った。英語でも「グース・スキン」っていうらしいね。鼓膜が振動するだけじゃ、単なる「音」でしょ。「音楽」には、「楽」の字がついてるんだから、ハートがビリビリっとこないとだめだよ、って僕もよく学生に言うんです。鳥肌が立つような音楽体験をしてほしい。金賞とか銀賞とか、そういうのと違う次元の。そして楽譜がその音楽体験の元なんですよ。楽譜に、「ハートのビリビリ」が込められているんだから、よく読まなくちゃ。
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